第3話 死闘!ドラゴン
転生から10日ほどがたち、俺のスタータスもそこそこ上がった。新たなスキル:弾道演算も手に入れ、この街の周囲の魔物は余裕で倒せる。今日もクエストを受けるため、ギルドに向かうと、何やら騒ぎがあった様で、受付に話を聞いた。
「高難易度クエスト?」
「はい。実は近くの洞窟で、下位の竜種が確認され、その討伐をしてくれる方を探していたのです。」
なるほど。そろそろ別の街にいく予定だったし、旅立ちの区切りとして、挑むのも良いかも知れない。
「わかりました、俺が行きます!」
と言って、俺は全速力で洞窟まで駆けた。
幸い、洞窟内は一本道だったので、最奥の部屋まで辿り着くのはそう難しくなかった。
そこにいたのは、黒光りする鱗に覆われたドラゴンだった。ドラゴンは眠っていたが、俺は鳥肌がたった。
受付では下位の竜種と聞いていたが、身から溢れる威圧感は、とても低ランクとは思えない。ドラゴンが動いた。開かれた、炎の様に赤い目は、真っ直ぐに俺を見据えている。
俺は急いでリボルバーを作成し、首元めがけて撃った。しかし、弾丸は硬い鱗に弾かれ、ドラゴンにダメージは与えられなかった。
最近作れる様になったスナイパーライフルを同じ場所に放ったが、鱗が2、3枚剥がれた程度だ。
するとドラゴンが大きく口を開けた。直感的に危険を感じたオレは、思い切り左に跳んだ。その直後、俺がいた場所は、ドラゴンが吐いた炎で焼き尽くされた。しかし、同時に俺はチャンスだと思った。口の中は柔らかそうだったのだ。ドラゴンの振るう爪や尾をなんとか躱し、ドラゴンがまた口を開いた。その瞬間、俺はスナイパーライフルを構え、迷わず引き金を引いた。放たれた弾丸が、ドラゴンの口へ吸い込まれる様に飛び...
しかし、ドラゴンが口を閉じ、弾かれた弾丸は、鋭い牙を一本へし折るに留まった。
致命傷を与えることが出来ず、反撃を許したオレは、振り払われた尾を直撃し、ボロ切れの様に吹き飛ばされた。尾の攻撃を喰らった痛みと洞窟の壁に叩きつけられた痛みが同時に走った。痛すぎる。
雑魚との戦闘では、傷を負う事はほとんどなかったので、痛みに慣れていなかったのだ。これはしばらく立てそうにない。しかし、オレの手は、オレの意思とは関係なく、近くに転がっているスナイパーライフルに手が伸びた。サイトを覗き込むと、弾道の予測線が見える。弾道演算スキルだ。その線が、折れた歯の隙間に合った瞬間、俺は弾は放たれた。弾丸は口の中から脳を貫通し、洞窟の天井を軽く傷つけた。ドラゴンが絶叫する。構わず二発目を放とうとするが、ライフルが光をこぼして消えてしまった。魔力切れだ。どうやらここで終わる様だ...
突然、洞窟の天井が崩れ始めた。おそらく先の弾丸のせいだろう。なんとか立ち上がったオレは、全速力で出口を目指した。ちょうど洞窟から出たところで、中からドラゴンの断末魔が聞こえた。討伐成功だ。満身創痍でギルドに向かい、傷の手当てを受けた。その日は何を食べたかも忘れ、泥の様に眠った。
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