afterのおまけ
フレアafter
「あのね、思いっきり派手にあたしを辱めて欲しいのよ」
「またものすごいこと言い出しますね!?」
「だって子育て始めちゃったら羽目外せなくなるじゃない」
別々に暮らし始めてそんなに経っていないのに突然会いに来たかと思ったらいつもの発作だった。
でも、言いたいことはわかる。
フレアが子供を作るのはもう少し先だし、リーシャが子供を産んだからと言ってわたしが急に忙しくなるなるわけじゃない。
貴族の子育ては乳母を頼んだり専属の使用人を用意したり人に任せるからだ。
とはいえ、人の親になってから露出プレイというのも、こう、恥ずかしくないのか? 感がある。
わたしはふう、と息を吐いて。
「わかりました。……ここはひとつ思い切り羽目を外しておきましょう」
「あら、話がわかるじゃない? どういう風の吹き回し?」
「それはまあ、わたしだってフレアさんとそういうことしたかったですし……」
ごにょごにょと濁しつつ答えるわたし。
これにフレアはニヤニヤして、
「ふふーん? ほんと、処女捨ててから可愛くなったわよね、ステラ?」
「そ、そういうのはいいですから! ……えっと、決行は今夜でいいですか?」
「あんたにそのへんは任せるわよ。ね、ご主人様?」
こういう時、彼女の手綱を握るのはわたしの役目。
プランも、使う道具もわたしが考えろというわけか。
そういうことならとわたしはしばし思案して、
「わかりました。それなら明日の昼間にしましょう」
「昼間? わざわざ人の多い時間帯にやるわけ?」
「はい。だって……そのほうが興奮するでしょう?」
ぞくっ、と、フレアは興奮に顔を歪ませて。
「ほんと、わかるようになったじゃない、ステラ」
◇ ◇ ◇
「こんなこともあろうかと、道具はいろいろ用意してあるんです」
「え、なに、変態なの? エマの影響受け過ぎじゃないあんた?」
「主にそのエマさんが作っては置いていくのと、ウィズさんが貰い物なんかをおすそ分けしてくださるせいですね……」
ともあれ、あればあったでこうして役に立つわけで。
自動サイズ調整の魔法がかかったボンデージコスチュームをわたしは手にとって「これ、どうですか?」と尋ねた。
「うわ、なにこれえっろ……。大事なところがぜんぜん隠れてないじゃない」
「もう服じゃないですよね」
言いながら侍女に服を脱がせてもらっていくフレア。自分で着ろよ、という話だけれど、これも含めて羞恥プレイ。
金具で連結された黒革のベルトが装着と同時に伸縮、フレアのちょうどいいサイズの胸が周りから締め付けられて強調される。
「それからこの道具も挿れちゃいましょう」
「うわ、なにこれ、サイズはそれほどでもないけど、二本ついてるって……しかもこれ錠前式じゃないじゃない」
「はい。金具同士を嵌め合わせると古代語で命令しない限り外れません」
髪はアップに結い上げてもらい、首には幅広の首輪を装着。
アイマスクをつけさせ、靴をヒールのかなり高いものに。その靴同士を鎖で繋ぐと可動域が制限されてさらに動きづらくなる。
「どうですか、フレアさん? ひとつひとつ逃げ場がなくなっていくのは」
「……っ、気持ちいいに決まってるじゃない」
熱っぽい吐息。
答えたその口にも枷を嵌めて言葉を紡げないように。
あとは腕を後ろで拘束してやれば、もう、彼女はリードを引かれて歩くだけの虜になった。
「……ああっ。あのフレア様がこんなお姿になるなんて……っ。とても背徳的で、たまりません……っ」
侍女がそんなふうに漏らすくらいには、拘束された少女の姿は美しくて淫らで、ある種の憧れをも感じさせる強烈な魅力があった。
もちろん、フレア自身もそんな評価を誰よりも心地よく感じている。
「ふふっ。せっかくですから、わたしもドレスに革のアクセサリーを合わせますね?」
攻めたファッションだな、くらいには思われるだろうけれど、まあ単独では普通にスルーされるコーディネイト。
ただしその手にリードを握り、いやらしい女の子を繋いでいればそれはもう『女主人』の姿だ。
わたしはいつもより派手な化粧を施してもらい、いつもとは違う髪型に変え、仮面で目元を隠し、印象を変える効果のあるチョーカーを嵌めた。
これで簡単には正体がバレない。
「さ、フレア? お散歩に行きましょうか?」
「……んっ」
こくん、と従順に頷いた彼女はもう完全にできあがっていて。
◇ ◇ ◇
《テレポート》で都の城下町でも『冒険者の街』でもない別の街へと移動すると、お散歩が始まった。
いちおうフレアにはマントを羽織らせ、前もしっかり閉じさせてある。
それでも、いきなり道に現れた訳アリな二人組に視線は集中して。
ひそひそ声がフレアの肌を撫で、心を蕩けさせる。
装着した棒状の道具も振動させてあるので、これだけでもうたまらないだろうけれど。
もちろんこれで終わるはずがなく。
わたしは少女のマントをはだけさせると、内側の恥ずかしい姿をみんなに晒した。
周囲の反応が大きくなる中、リードを引いてさらにお散歩させ──頃合いを見て完全にマントを奪い去ってしまう。
恥ずかしい格好を衆目に晒したフレアは何度も何度も大きく身を震わせ、それでも拘束のせいで倒れることも座り込むこともできず、恍惚の中に身を浸した。
それからわたしは光の精霊にお願いして《インビジビリティ》──透明になる魔法を彼女にかけて、
「ね? フレアさん? 衣装、ぜんぶ脱いじゃいましょうか……?」
もう十分過ぎるほど気持ちよくなっているはずの少女は、これ以上の辱め、本気でどうなってしまうかわからない恐怖にぞくぞくと身を震わせて──。
「で、あんたたちが生まれたってわけ」
「その言い方はものすごく語弊があると思うんですが」
「時系列は合ってるじゃない」
それはそうだけど、その言い方だとその場で子供を作ったみたいじゃないか。
ため息をついたわたしだけれど、わたしとフレアの間に生まれた娘たちは目をきらきらさせていた。
「透明になって裸で歩く……! あたしもやってみたい!」
フレアの産んだ娘は分類上は半精霊、ただし生身の肉体を自力で精霊化することも肉体に戻すこともできるハイブリッド。
母親ゆずりの紅の髪と瞳、美貌は周囲が羨むほどのものなのだけれど、困ったことに母親同様、あるいはそれ以上の露出趣味に育ってしまった。
小さい頃は服を嫌がっていただけだったのだけれど、成長して羞恥を覚えてからは「いけないからこそ裸になりたい」と余計に悪化して、
「お母さまたちは昔からずっと仲良しだったのですねっ」
わたしの産んだ娘も半精霊、ただ、どういうわけか炎ではなく『光』の精霊として生まれてきた。
火をつけると光が生まれるため、ふたつの精霊は仲が良い。そういう意味では親和性はあるのだけれど──大精霊ヴォルカは「そもそも、精霊がどうやって生まれるのかもよくわからないしねー」と笑っていた。
自然の力が意思を持つ精霊と、生きものが精霊の力を宿す半精霊は似ているようで違うもの。もしかしたらこの子たちに関しては母親のお腹に宿ってから自身の属性を決定したのかもしれない。
妹、ということになるこの子はわたしに似て(は自意識過剰か)素直でいい子なのだけれど、姉を尊重して立てるところがあるのでちょっと心配である。
「お願いだから露出は一人でやらないでね?」
「ママと一緒ならいいの?」
「ん……ううん、この子じゃだめ。わたしと一緒の時だけ、ね?」
「わかりました、お母さまっ」
「……ちょっとステラ、それどういう意味かしら?」
「いい歳してそんなレオタード着てる人になにか言う権利はありません!」
娘を冒険者にしたがっているフレアと、普通に『学園』にでも通わせたほうが……と思っているわたし。
教育方針がぶつかり合うことも多く、そういう時はちょっとした言い争いもしたりなんかする。
『うふふ。こういうの、私は経験がないから楽しいわー』
なお、娘たちからすると祖母にあたるヴォルカだけれど、ぶっちゃけ彼女が一番役に立たなかった。
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