美少女になった俺は、追放元のPTにこれでもかと甘やかされている
「……いいのか、本当に? 俺だぞ? お前らを騙してたんだぞ?」
「そりゃ騙されてたのは腹立つわよ。でも、もう元に戻れないなら女の子なのは間違いないじゃない」
「そりゃそうだが」
中身が男なのは嫌じゃないか?
俺だって可愛い女の子の中身が実は野郎だったら──嫌だな。嫌だが、女体自体は真実だと言われるとめちゃくちゃ複雑ではある。
フレアは俺の下半身に尻を押し付けたまま、
「エマたちにはあんたも黙っておきなさい。……考えてみるとちょうどいいじゃない。あたしたちの趣味に付き合ってくれる美少女なんてそうそういないし」
「美少女なくて中身は男だけどな」
「言ってるあんたも可愛い女の子にしか見えないわよ。あんたが元に戻ってみせない限り、本当の意味で証明するのは無理ってこと」
確かに、俺が俺だった証拠は跡形もなく消え去ったわけで。ここにいる俺は元の俺ではなくステラだと言っていい。
少女は体勢を変え、俺に全身を押し付けてくる。
「……それに、あんたの使った『秘蹟』って、なりたい自分になる効果だったんでしょ?」
「そうだが」
「つまり、あんたは女の子になりたかったのよ。なってあたしたちと仲良くしたかった。……そう考えると可愛いじゃない」
「やめろ。そういう言い方をされるとめちゃくちゃ恥ずかしい」
「えー? でも本当のことでしょ? 金髪で色白で、肌がすべすべで、誰もが振り返るような可愛い女の子に、あんたはなりたかったのよね?」
これ、新手の羞恥プレイなのでは?
耳元で甘く囁かれ、くすくすと笑われる。興奮と恥ずかしさが同時に襲ってきて、そのうち「恥ずかしい=気持ちいい」と錯覚しそうになる。
大声を上げても誰にも気づかれない場所だというのがまた困る。
間違いが起こっても誰も助けてくれないし、この場合、俺は「起こされる側」だ。
「あんたの夢、あたしたちが叶えてあげる。ね、ステラ? 望み通り、これからも一緒に冒険しましょ?」
「身の危険を感じるんだが」
「なによ、嫌なの? 本当は触ったり、いろいろしたかったくせに」
据え膳にも程がある。しかし、手を出した瞬間になんの言い訳もできなくなるわけで。
「ほんとあんたヘタレよねー? あたしたちがいいって言ってても手を出してこないんだもん。ううん、紳士? っていうか淑女って言ったほうがいいのかしら」
「……くそ。あんまり調子に乗ってると押し倒すぞ」
「どうぞ。できるものなら」
一転して機嫌が良くなっているのか、フレアはにんまりと笑みを浮かべて。
汗をかいたせいか、蒸れて濃くなった互いのにおいが地下室に満ちる。
「中身がまだ男のつもりだって言うなら、女の子にしてあげる」
唇が頬に触れる。舌がつん、と軽く触れて。
「女の子って気持ちいいんだから。ね? 一回経験しちゃえば病みつきになるから。思い切って身を任せなさい、ステラ?」
「あっ……や、やめっ……!?」
これじゃ、まるで本当に女の子だ。
少し強引に押し倒されて愛される美少女。自分が「そう」させられていることが無性に恥ずかしくなって、じたばたと暴れようとするも簡単に押さえられて。
紅の瞳に見下されていると、俺が逆らえない立場にあることをはっきりと認識させられる。
「ほら、ちゃんとステラになりなさい。あたしのことはなんて呼んでたかしら?」
「あっ、フレア、さ……んんっ!?」
石造りの部屋に俺自身の嬌声が木霊する。
俺は敏感なところを愛撫されながら抑えきれない声を自分とフレアにたっぷりと聞かせ、そして、疲れと脱力感でうまく動かない身体を抱きしめられ、閉じた地下室の扉に向けて恥ずかしい姿を晒された。
「いま、ここに誰か入ってきたらどうなるかしら? ふふっ。想像するだけで気持ちよくなってこない?」
「そんなのっ、絶対だめです……っ!?」
朦朧とした思考の中、ステラとして悲鳴を上げて。
ぞくぞくとした快感を無理矢理に教え込まれて。
「──やっぱり、こんなことだろうと思った」
「フレア。無理矢理抜け駆けは駄目だってあれほど話し合ったでしょう?」
俺は、あろうことか残り二人の仲間に「その様」をはっきりと見せつけることになった。
◇ ◇ ◇
「こんなに痕つけられて、可哀想」
「ステラさん、お姉ちゃんが慰めてあげますからね?」
捕食者が別の者に変わっただけのように思えてならないが。
フレアから引き剥がされた俺は、今度はエマとリーシャに抱きしめられることになった。
さらに鼻腔をくすぐってくるいい匂い。
なんかもう、全部含めて『調教』である。
離されたフレアはふん、と鼻を鳴らして。
「いいじゃない。それにこれは合意の上だし。ね、ステラ?」
「そ、それは」
あれのどこが合意だよ!? と叫びたいのは山々だったが「約束忘れてないでしょうね?」とばかりに睨まれるとなにも言えない。
「……わ、わたしも抵抗しませんでしたから」
「!?」
「それは……!?」
息を呑み、信じられないとばかりに見つめてくる二人。
あれか、好きな人を寝取られるとこんな顔になるんだろうか、と、馬鹿なことを考えて。
「つまり、もう我慢しなくていいってこと?」
「フレアさんと一線を越えたのでしたら、わたくしたちもより過激にアプローチして構いませんね」
「な、なんでそうなるんですか……っ!?」
「だって、ステラは私たち三人の妹だから」
「大丈夫ですよ。痛いことなんてしませんから。たっぷりと甘やかして差し上げますね?」
「リーシャは甘い。痛いのも苦しいのも突き詰めれば愛。それをステラには教えてあげる」
コートの前をはだけたエマが、自分の着けていた首輪を外して差し出してくる。
「さあ、ステラ。髪を持ち上げて巻きやすいようにして欲しい」
「いや、いやいやっ!? いろんな意味でアブノーマルすぎますからっ!」
「? 新品よりも肌に馴染むから適度な気持ちよさがあると思う」
人肌の温もり+誰に着けられるって、もうOKしたも同然だろうが!
「あはっ。いいわよね首輪。これはわりとあたしも好きよ?」
「フレアにしてはよくわかってる。首輪をつけて散歩するととても捗る」
「わかる。あたしたちみたいな可愛い子だとみんないっぱい見てくれるもんねっ!」
なんのあるあるトークだ!?
やばい、フレアに秘密を握られたせいで下手に抵抗できなくなった。このままではなし崩しにいろいろ経験させられてしまう──というか、さっき施されたいろいろのせいで、今までよりもはっきり「どうされるか」想像できてやばい。
俺はもう男じゃないのだという、これ以上ない実感。
受け身の側に回らされ、いいように弄ばれる『快感』。女の子になる、女の子にされるとは、そういうことなのかもしれない。
ごく、と、唾を呑み込んだ俺をリーシャが抱き寄せて。
よしよし、とばかりに手のひらが頭を撫でる。
「二人ともあまりにも横暴だわ。ステラさんはわたくしが責任を持って優しく面倒をみます」
「り、リーシャさん」
「ステラさん。お姉ちゃんに全部任せていいんですよ? ご飯も食べさせてあげますし、服も着替えさせてあげます。お風呂で身体も洗ってあげますからね?」
「リーシャさんっ!?」
それもうお姉ちゃんを通り越して母親じゃないのか!?
小さな子供のような扱いで甘やかされた日には、ある意味一番尊厳を削り取られそうだ。フレアやエマのと違ってただひたすらに甘く、気持ちいいので逆にやばい。戻ってこられなくなる。
逃げようとしても腰が抜けてしまっているし、こっちを熱のこもった目で見つめる三人がいる。
地下室を抜け出すことなどできるわけがなく。
「ステラ」「ステラ」「ステラさん」
抜け出せない。
深い沼にはまり込むように、俺は三人に絡め取られてしまった。
そして、これからは「これ」が俺の日常になる。
頼りになる仲間、憧れの上位者、そしてたまに変態になる困った美女、美少女たちとの日々は、これからも続いていく。
俺たちの行く先に待ち受けているのが英雄譚の主人公か、それとも爛れた日々か、それはまだわからない。
……わからないよな? わからないって言え。
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