第9話 宮川家
そして、一つの扉の前に着き、瑠海さんが鍵を開けて私たちを部屋の中へと入れた。部屋の中は一般的な女の子の部屋という感じだった。クローゼットやベットなど、必要最低限のものが揃っているが、何よりも目を引くのが壁一面に貼られている写真たちだ。
「私はここでお茶とか持ってくるから、二人は適当に座って待ってて」
瑠海さんはそう言うと部屋を出て行った。私たちは二人並んでソファの上に座ると、るーちゃんが口を開いた。
「今更なんだけど...紗英はさ、私のこの身体……どうおもう?」
「え?いきなりどうしたの??」
「いいから、答えて」
私は少し考えた後、自分の考えを正直に話した。
「……正直、今のるーちゃんはかわいいと思う。元から顔立ちは整っていたけど、今はさらにかわいい方に磨きがかかってるし、身長も低いしで、守ってあげたくなるというか……」
「そ、そう……ありがと」
るーちゃんは少し顔を赤く染めて照れていた。
「にしても、編入の話、受け入れてもらえると思う?」
「お姉さまは、私たちが覚悟を持って決めたことなら尊重してくれるから、きっと、大丈夫...」
それから少しの沈黙の後に口を開いた。
「お姉さまが戻ってきたら、しっかりその覚悟を話してみようと思う。紗英も一緒にいてくれる?」
「もちろん!」
私がそう言うとるーちゃんは安心したような表情になった。そしてちょうどその時、部屋の扉が開いた。瑠海さんがお茶とお菓子を持ってきてくれたのだ。私たちは瑠海さんに事情を話した。瑠海さんは終始真剣な顔で話を聞いていたが、私たちが話し終えると、
「二人とも、覚悟は決まってるんだね?」
『もちろん』
「わかった。なら私は二人が美嶺学園に編入できるように協力するよ!瑠依の方は都合がよくなるように若干の情報改ざんを加えておいて、ね?」
「いいんですか、それ...?」
「宮川家の情報操作技術は合法だよ、ギリギリね」
それから私たちは学校や手続きのことなどを軽く話してから解散した。まだ不安なことはたくさんあるけど、それでも前に進めてる気がする。るーちゃんと一緒に頑張っていこう。そう心に誓ったのである。
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