第8話 転機
「美嶺学園に編入すればいいんだ!」
美嶺学園は女子高なので、男子生徒、という可能性は回避できる。女子高に多少たりとも男の先生がいるのは妥協するしかないが。
そして、美嶺学園は中高一貫でもあるので、これなら私とるーちゃんは同じ学び舎へ通える。まさに丁度いい一手だった。この考えをるーちゃんに話すと、「紗英とこれから一緒に通えるの?」ととても喜んでいた。もう、かわいすぎる……。
こうしてるーちゃんと私は、来年度は美嶺学園に通うことにした.....と、その前に。
「るーちゃんは一応、この話をお姉さんに伝えておいたら?」
「そうだね。転学というのは人生において重要な決断。それを家族であるお姉さまに黙っておくのはまずいね。一度実家に戻って話してみよう。.......やっぱり紗英も一緒に来てくれない?」
「あ、うんわかった....」
ということで私たちはるーちゃんの実家へと足を運ぶことにした。
「お、お邪魔します」
るーちゃんが実家の玄関を開け、私たち二人は家へとお邪魔した。
「もー瑠依ちゃん。家族なんだから家に入るときは『お邪魔します』じゃなくて、『ただいま』、でしょ?あ、紗英ちゃんも家族みたいなもんだし、ただいまでいいよ」
「...お姉さま、あまり強く抱きしめないで。痛い」
「ご、ごめんね??久しぶりに瑠依ちゃんに会えたからつい....瑠依ちゃんを傷つける気はなかったんだよ??」
「それはわかった。だから、抱きしめる力を早く弱めて……」
「うん!わかった!」
玄関先でいきなり姉妹(?)のじゃれあいが始まった。そしてるーちゃんは満更でもなさそうだ。最初は戸惑ったけど、今ではすっかり慣れてしまった光景だった。
るーちゃんのお姉さん.....
「あれ、そういえば瑠依ちゃんたちはなんでうちに来たの??」
「私たち、来年度から美嶺学園に編入したいから、その話をしに....」
「ふーん……」
と、さっきまで目をキラキラ輝かせていた瑠海さんがいきなり真顔になり……。
「奥で話そう。大事な話っぽいし」
そうして瑠海さんは私たちを先導するようにして屋敷の奥へと歩き出した。
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