第7話 変わったこと

るーちゃんが女の子になって、一週間が経った。この一週間行動を見ていてわかったことは、記憶や魂はまごうことなき【宮川瑠依】のものであること。だが、身体的にも精神的にも変化は生じているらしい。

一つ目。体力と力が激減したこと。生物学的に女性よりも男性の方が力や体力があるのが普通だ。だから、男→女が起こった際、体力と力が減るのは自明の理である。だけど、るーちゃんはそれだけでは理由付けが足りないと思えるほどには減ってしまったのだ。一度病院に行って、病気の類がないか調べてもらったが、特に異常はなかった。なので、この話に関してはこれからも経過観察を続ける、ということにしている。

二つ目は、人付き合いに関してだ。宮川瑠依という人間に元から人見知りの面は存在していた。けれど今までは取り繕ってそのそぶりを見せたことはなかった。それが今となっては私や春瀬さんなどの人以外とはほとんど話せない。この間の事件以降は特に男性が恐怖の対象へと変わっていた。本人曰く「人への恐怖心が、何十倍にも膨れ上がった感じがする」とのこと。

三つ目は、好みに関してだ。今まで甘いものが苦手だったるーちゃんは、なぜか平気なった。これに関しては「女の子=甘いもの好きという神様からの偏見だろ」

と突っ込みたいほどである。

これらの変化は、今までの生活にも大きな変化をもたらした。まず、私とるーちゃんが学校を休むことになった。理由は簡単。今のるーちゃんには学校に行けるほどの体力がないということと、人生で突然起きた変化なので、まだるーちゃんの精神が安定しきっていないこと。「紗英は気にしないで、いつも通りに行ってきていいよ」と気を使ってくれるが、それで学校に行くのは私のプライドが許せない。だから私も休んだ。けれど、ずっと休んではいられない。今年度中は出席日数も足りるので進級できるが、来年度からはまた学校へ行かなければ。

でも、私とるーちゃんは中学生と高校生。同じ学校ではないから学校の間はサポートもできないし、男が苦手な今のるーちゃんを、学校に行かせたくもない。

頭を抱えて悩んでいると、私は一つの可能性を思い出した。

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