第12話 怖かったですわ!!
フェザーという者も魔法使いのようだった。
しかもかなりの使い手だ。だが、カタリナが王宮の最奥にある王の間にたどり着くまで気が付かなかったというのは、その程度の腕だということだ。
半透明のカタリナが、棘の縄で縛り上げられて、空中高く飛ばされた。
「「きゃーー!! 何をするのですの」」
「おや、坊やかと思ったら、嬢ちゃんかい? 何処の国の者だ? 誰に頼まれたのだ?」
「誰にも頼まれてませんわ、あたくしの独断で来たのですわ!!」
『お前は誰だ?』
魔法使いフェザーは、古代レトア語を使ってカタリナに尋問してきた。
だが、大地の力は、カタリナの方が上でカタリナは、精霊ポポロンに助けを求めた。
「「ポポロン、助けて!!」」
ポポロンは、カタリナの身体を覚醒させ、精神体のある宙のところまで移動してきた。
そしてカタリナは、肉体と精神を融合したのだ。こうすればこっちのものである。棘の縄もカタリナの前では申し訳ないようにするりとほどけた。
「な……」
フェザーは、驚いた。
「生意気な小娘……だが、見たところ風の加護は無いのだな」
フェザーは、不気味に笑うと今まで空に浮いていた結界から、カタリナを放り出した。
「えっ! ええっ!?」
急に、落下する自分の身体にパニックを起こしてしまった。
「ポポロ~ン!!」
<仕方ないよー!僕は大地の精霊だからね~ 風の精霊に頼んであげるよ、落下の速度が遅くなるように。でも、さすがに君でもこんな高さを落ちたら怪我は、間逃れないよ。覚悟しててね>
ポポロンにしては、冷たい言葉が返ってきた。
「「痛いのも、怖いのも嫌ですわ~~!!」」
ますますスピードが加速して、落下していくカタリナの身体。
一体、どこまで連れていかれたのか、今のカタリナには恐怖しかなかった。
「見つけた!! もう少し左だ」
カタリナの耳に、聞いたことのある声が飛び込んできた。
と、同時に地面も見えた。
いつもなら空中がえりで、華麗に着地できるのだが、今は、落下のスピードが速すぎてどうにもならない状況なのだ。
カタリナは、頭を庇う姿勢を取って、その時に備えた。
カタリナの身体は、それこそまた、肉体と精神が分かれるほどの衝撃があるかと思われたが、以外にもカタリナはクレッグの腕の中にいたのである。
「……!!……」
カタリナは、放心したようにクレッグの顔を見つめた。
「ちい姫!! 大丈夫ですか? ちい姫?」
カタリナは、ボロボロと涙を流し、
「怖かったですわ~!!」
姉の駆け落ちの相手だったことも忘れて、クレッグに抱きついてしばらく泣いていた。
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