第9話  黒騎士は嫌いですわ!お姉様にあんなことして……

「ではなぜ、そこまで黒騎士のクレッグを?」


 レジーナは、カタリナに目線を合わせて座った。


 カタリナは途端に怒り出す。


「あの者は、お姉様を酷い扱いをするようになりますわ!!」


「え?」


「暗くて二人きりになると、あの者は豹変します!!」


 レジーナは、カタリナの言うことの意味が分からない。

 クレッグに手を出されたことなど一度もない。

 暗いところをで二人きり……?? しかも未来形のような喋り方。

(この子、予見も出来てるかしら? 何が視えているの……気になる)

 恐る恐るレジーナは、カタリナに何が視えているのか小さな声で聞いてみた。


「カタリナ、一体、あなたには何が視えているの?」


「薄暗い部屋のベッドの中で、お姉様と黒騎士が裸で抱き合っていましたわ。お姉様はあられもない格好で足を開いて、黒騎士はお姉様の大事なところを(自主規制)して、お姉様は「やめて」とおっしゃってたのに、黒騎士は止めるどころか、とうとうお姉様の中にま」


「もう良いわよ!! カタリナ」


 なんという事だ。未来の夫婦生活を覗かれていたなんて。


「一回や二回のことじゃありませんわよ。お姉様!! 違うバージョンもありますわ。黒騎士はかなりやり手ですわ」


「そこはもうよいです。それは夫婦の営みと言って、愛し合うものがするもので……覗き見られてたなんてハッキリ言って私も不愉快だし、クレッグにも謝ってもらいたいものだわ」


 レジーナは、恥ずかしさのあまり立ち上がって言った。


「今後、私とクレッグの営みを覗いたら、あなたとは縁を切るから覚悟しなさい」


「そんな~~!! だって、お姉様は、ビルラードに帰る気はありますの?」


 カタリナの悲痛な声が、木霊した。

 野営地に枯れ葉がたくさん降って来た。


「ありません。私はクレッグといっしょに生きていくために王宮を出て来たのだから。あなたは、諦めがついたのならビルラードへ帰のよ。フリードに送らせるわ」


 だがカタリナは、頭をふった。


「嫌ですわ! あたくしはお姉様を守るために一緒に行きます」


「そう、くれぐれも隠密の仕事だと悟られないようにしてね……

 そ・れ・か・ら、昨日のようなことは、二度としないで!!」


「お姉様も、あたくしと約束して下さい!!あたくしが黒騎士のことを認めるまで、神殿で祝福を受けようなんて考えないで欲しいですわ!!」


 レジーナは、冗談かと思ったが、カタリナの顔は大真面目であった。


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