第12話外伝(一) 風幻と影法師達
「はぁ……まっさーかー、わーの仕事の時に、"風"が運ぶ噂の"影法師"さんらに出会うたぁなぁ。」
赤い髪に翡翠の目の男が先頭に立つ。その後ろには青髪黄目の男、ピンク髪緑目の女、水色髪赤目の女。
四人の男女が其々思い思いの感情を隠すことなく立っている。
嫌そうな声、面倒な事になったと思わんばかりの表情、何処か楽しさを滲ませる目、警戒すらしていない何も考えていない立ち姿。
「影法師、懐かしい~! その呼び方、私も久しぶりに聞いたよ~!」
「あの
赤い髪の男はそう言って、この場に残った四人組に目線を向ける。
「手似内、花上結、毘沙門天似クベラ、ドヴェー・カーリー……。あん時から随分と増えたんやぁなぁ?手似内はあんときはぁ……何だったかなぁ? あの抗争はいろんな奴らや組織が入って来てぇ、滅んだりもしてぇ。大変だったんだよぉなぁ?」
何処か苛立ちを隠せない様子で赤髪の男は話を続ける。……手には、空の注射器が握られている。勿論、彼だけでなく、後ろにいる三人組も短剣、カッター、ナイフを握りしめている。
当然、それを見て黙ってそうですかとする万仲介社の社員は居ない。手似内は強く白いシルクハットを手で押さえ、花上は懐からナイフを取り出し、毘沙門天似は宝棒を取り出し、ドヴェーは変わらず手を胸の前にしている。
「そうだね~。あれから……五、六年くらいかな? 12月に起きた出来事だから六年は経過してないね~! じゃあ五年とちょっとか。まっさかー、キミが生き延びているとは思いもよらなかったよ~!」
「はは……そりゃわーの
「あはは! あの時は敵同士だったし、赦して~よ?」
「じゃあ今は?」
「今?」
手似内が首を傾げてそう返すと……あははと笑い、言い放った。
「敵に決まってんでしょ? それじゃあ、散ろうか?」
そう手似内が言い終えた時には、その場には手似内と赤い髪の男しかいなかった。
「やぁっぱやるよなぁ? そうだよなぁ? わーでも分かるわぁ。」
「いやぁ、薬品ばら撒き屋さんと一緒に居るとか、一番やっちゃいけないからねぇ。毒ガスばら撒くでしょ?」
「当然よぉなぁ? あーあー、負けたねぇ。」
「諦めるの早いよぉ?」
「無理無理ィ。天授者かどうかで勝敗なんかぁもう決まってるんすわぁ。嫌がらせ程度に戦いますかねぇい。」
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