十九話目
「今日、髪型が崩れる……」
今日は風の強い日。
だけど、夏。
窓を開けることになった。
「俺が直そうか?」
高田くんが、橋川さんに声をかける。
どんな日も、好きな人の声は爽やかに聞こえる。
「私はいいよ。どうせ、また崩れるし。あ、ほら。愛月さんの髪型、直してあげて。ほれほれ、男でしょ!」
橋川さんのいじわるは、私にも刺さっているようで。
こっちを見る高田くんは、少し眉をひそめている。
目は、まるで子犬みたい。
好きな人と触れ合いたいな。
こっちに来てと言わんばかりに、同じ目をする。
家で、髪は整えた。
だが、気になるものは気になる。
だけど、それ以上に触れ合いたいんだ。
恋って、不思議な感情。
「いや、申し訳ないよ。」
しかもそれは、簡単な感情じゃない。
「四人組で休み時間を過ごしているんだからさ、少し慣れたら?」
遠くに聞こえる、橋川さんの真面目な声。
本当は橋川さんも応援してくれるんだよな。
私は席を立った。
「高田くん、あの。か、髪。」
勇気を出した時、後ろに気配がした。
「高田はやめとけ。あいつは女子力のじの字もないぞ。なんなら、俺がやった方がマシだな。」
戸田くんだった。
「え、嗚呼。じゃあ、お願いしようかな。」
戸田くんは嫌いじゃないからいいけど。
とほほ。
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