十六日目

「愛月さん! ︎︎そっち、敵いる!」

私が操作しているキャラクターが、倒れ込んだ。

「こういうゲーム。やっぱり、難しいね……」

私は、慣れないゲームをしている。

「橋川、上手くね!?」

高田くんの驚いた声には、興奮も混じっているように聞こえた。

やっぱり、ゲームが上手い子って好感度高いのかな。

私は勉強も頑張らないといけないから、ゲームを上手くするなんて手が回らない。

「頭、良ければな……」

冗談交じりの声に無理矢理変えるが、本当は純粋に後悔している。

「でも、ゲーム下手な子ってさ。なんか可愛くない?」

橋川さんは、私の気持ちを察したらしい。

「そ、そうだね。可愛いですね。」

上辺だけの会話でも、顔が熱くなってしまう。

「なんで、敬語なの……?」

二人が大笑いしている中、照れて力が入らない私。

ぎこちない笑いが、後悔を生んだ。


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