十四日目
「愛月さんってさ。なんで、そんなに可愛いのに告白しないの?」
飲んでたお茶が、意図しない形で喉に入る。
告白できるなら、今すぐにしたい。
告白の約束を取り付けようとするだけなのに、心臓が高鳴る人でもそう思う。
「それが出来たら、苦労しないよ。しかも、私さ。高田くんに怖がられているみたいだし。」
せめて、高田くんに可愛いって思われてから。
そういう気持ちもある。
高田くんに、嫌な思いをさせたくない。
「でも、告白。したいんでしょ?」
橋川さんは、わかりきっている。
だけど、私の恋心に火をつけようとしてくれている。
「そろそろ、告白する件。ちゃんと向き合う。」
私だって、雑魚じゃない。
欲するもののためには、動くのが人間だ。
「いつしようか。応援するよ!」
いつするのか言われた。
「私が高田くんに告白するのは…… ︎︎1ヶ月後のどこかかな……」
やっぱり、私は雑魚だ。
目の前の橋川さんに、呆れた顔をさせてしまった。
「告白、聞きますよ。」
後ろに聞こえた声に、後ろを向かされる。
「ひゃ!?」
自分の声帯が、可笑しい声を出す。
自分の気持ちが、高田くんに知られた。
いや、知られたじゃない。
知ってくれたんだ。
「あの、その。えっと、え? ︎︎す、す……」
心臓が透明な糸で圧迫される。
「数学が苦手なので、教えてほしいと思っています!」
いつかは勇気を出さないといけないのに、今じゃないと思ってしまう。
そんな自分自身に、焦りを感じる。
「苦手を告白するのって、難しいですからね。俺も苦手ですけど、勇気を出してくれたわけですから教えます!」
私は後悔で沢山で、二人で居られる時間の獲得に喜べなかった。
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