七日目
「高田と愛月さんって、身長差を感じるよね。なんというか、高田は困る高さ。愛月さんは可愛い低さ。」
これ、私も貶されているよね。一応。
「お前と俺の身長はあんまり変わらないだろ、橋川……」
高田くんと橋川さん、仲良いな。
嫉妬しそう。
「高田と愛月さん、身長差が見たいから背中をくっつけて!」
高田くんの体と私の体がくっつくだけでも、意外と恥ずかしいんだけどな。
まあ、むしろ嬉しいから大丈夫だけど。
「橋川、考えてあげろよ。男女がお互いの体をくっつける行為、女子は嫌だろ?」
もう。
高田くん、そんなことを気にしなくていいのに。
私は高田くんのことが好きなんだから。
「そうかな?」
というか、本当に男女だからなのかな。
本当は、私が怖いから避けたとかだったり。
「高田くんと橋川さんは、どっちの方が身長が高いのかな?」
高田くんと橋川さんは、お互いの身体をくっつけた。
「あっ……」
はあ。
やっぱり、高田くんは私が怖いから避けたんだ。
「高田くんの方が高いみたいだね。やっぱり身長が高い人って羨ましい。……スポーツとかで有利になりやすいし。」
恋愛感情のアピールがしたかったけど、心配になったからやめた。
「ちなみに、俺はスポーツが苦手だけどね。」
会話が膨んでいく中で、私の好きな人と触れ合いたい欲求も膨らんでいく。
好きな人と近づくこともできないとか、本当に嫌だ。
これは人間の本能的な思いだろう。
「話を戻すけど、高田くんと私ってどのぐらい違うのかな。身長。」
高田くんがよりかかっている壁に手をつけて、高田くんと向き合う。
「えっと、恋人の理想の身長差ぐらいじゃないかな?」
橋川は馬鹿にしているかのような笑いを見せながら答えた。
高田くんの表情が私の怖さのせいか曇る。
「……身長が高いのは高田だけど、積極性が高いのは愛月さんかな。」
ちょっと、そんなこと言わないでよ。今更だけど恥ずかしくなっちゃう。
恥ずかしさのおかげで、顔が熱くなってくるぐらいの時。高田くんが私の手を掴んできたことで集中が戻ってきた。
私の手が温かくなる。というか、高田くんの手ってこんなに大きいのか。
このまま、高田くんとの幸せな未来までエスコートしてほしいよ。
「愛月さん! 嫌とかじゃないんですけど、そういうのは好きな人にやりましょう。」
高田くんの微笑みが愛くるしい。
でも、内心は困っているんだろうな。
「愛月さんが高田のことを好きだとしたら、どうするつもりなの。それ。」
私は吃驚した。
橋川さん、何を聞いているかを分かっているのかな。
「橋川、安心しろ。そんな事実があるなら、槍が降ってる筈だ。」
はあ。
高田くんが鈍感なせいで、私の心には金棒が降った。
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