五日目

「禁中並公家諸法度ってなんだっけ?」

私は結構な頻度で図書室で勉強している。

今日も、いつものように図書室にきている。

そんな私だが、頭はよくならない。

この前の定期テストもあまりいい点はとれなかった。

これじゃ、高田くんに興味をもってもらえないかな。

いや、高田くんのことばっか考えちゃだめだ。もっと集中しよう。

その時、半分におられた紙切れが視界に映った。

「……高田くんっ!?」

後ろを見上げると、高田くんの姿があった。

「すみません! こんな粋なことして。今じゃなくていいですけど、放課後までには読んどいてほしいです。私事ではあるんですけどね……」

そして、高田くんはそそくさと去っていった。


「『予定等なければ、放課後に校舎裏に来てください!』ってあの紙に書かれてたので来ましたが、どのようなご要件で?」

高田くん、少し困った顔してる。自覚ないといけないようなものなのかな。

すごい怖い。

「すみません。私、なにか気に障ることしちゃいましたかね……」

目が合うのですらも、心臓に悪い。

「違うんです!」

静寂が空間を支配する。

「実は前から、愛月さんのことが気になっていて……」

否定はしてくれたけど、結局は気に障ることをしたってことか。

嫌われているかな。

目の裏が撫でられているような感覚がするのは、きっと弱いからだろう。

「つまりは、恋愛感情があるってことです。とても恐縮なんですが、付き合ってほしいなんて思っちゃってて……」

え。

沈黙が心臓の音をはっきりとさせる。

私は幸福って言葉の意味を今までは知らなかったのかもしれない。

「恋愛感情を持っているものどうし、仲間じゃないですか。敬語も今の距離もとっぱらって、付き合いましょう。」


目覚まし時計の嫌な音がする。

でもそれ以上に嫌なことがある。

「物語でいう、夢オチってものですか。」

ぬいぐるみよ。痛いだろうけど、今は抱きしめさせてくれ。






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