二日目
給食の配膳台が運ばれていく光景が目に映る。
「筆箱も、ノートもある。」
私は図書室へと足を運ぶ。
私は頭が悪いから、ちゃんと勉強しなければいけない。
「頭が悪いから、高田くんに怖がられちゃうのかな……」
漫画とかでは怖い人はテストで悪い点数をとって、先生に怒られている気がする。
偏見だけど、案外そういうところから怖いオーラを感じるのかな。
気づいたら、私の足は疲れている。
「ようやく階段下り終わったよ。二階の一年生が羨ましい……」
皆は校庭にいくことが多いから、図書室までの廊下は誰も通らないことが多い。
自分の足音がよく目立って、不思議な雰囲気に包まれる。
「橋川! 図書室か? 橋川は頭いいんだから、校庭で一緒に鬼ごっこしようよ!」
いきなり、後ろから高田くんから抱きしめられた。
橋川さんの名前を呼ぶってことは人違いかな。
「高田くん? 人違いだと思う。」
私がそういうと、彼は手を離してくれた。
「本当にごめんなさい! 愛月さんでしたか。」
高田くん、怖がらなくてもいいのに。
「愛月さん、ひとつお願いなんですけど。」
一体、高田くんからのお願いってなんだろう。
綺麗な目がまっすぐこっちを向いてる。
「高田くん、どうしたの? こっちまで緊張するんだけど。」
彼の身体が強ばっているのがわかる。
「本当にまたお詫びするので、この件は黙ってていただけないですかね?」
え。
私がこの件をみんなに言いふらすと、高田くんは思ってるのかな。
「安心して。そんなことしない。」
目の前で、彼は軽く頭をさげた。
「ありがとうございます! 失礼します!」
彼は小走りで校庭の方へ足を向かわせる。
やっぱり好きな人に怖がられるのは、切ないな。
「というか、高田くんに抱きしめられちゃったんだけど!?」
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