高田に怖がられる愛月と愛月に好かれる高田

嗚呼烏

一日目

「あれ?筆箱ないな……」

なんとなくバッグを開いたら、筆箱がないことに気づいた。

「教室かな?」

早めに気づいてよかった。とりにいこう。

「誰もいないだろうな…… いや、高田くんと二人っきりになったりしてぇ…… なんてねぇ……」

教室の近くまでいくと、声が聞こえてきた。

「こんな時間まで誰だろ?」

悪いこととは分かりつつも、聞き耳をたてる。

「これ、愛月の筆箱じゃない?」

戸田さんの声だな。私の筆箱はやっぱ教室か。

戸田さんが教室にいるってことは、高田くんもいるかな。

「そうだと思う。」

やっぱりいた。

というか、私の筆箱を気にされている状態で入っていくの気まずいな。少し待つか。

「てか、お前は凄いよな。あんなに可愛い愛月を怖いと思ってるなんて。」

え。

ちょっと待って。

私って高田くんに怖いって思われてるの。

「もちろん、いい人だとは思うんだよ。でも、あの鋭い目つきとオーラ。なにか感じない?」

私、好きな人に怖いって思われてるんだけど。

結局、私は教室から離れた。

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