第59話 二人の炎
「という訳で第二ラウンドを始めようか」
俺はルナの腰を抱く。
ルナに新たなるバフをかけて貰い、俺はリュカオンに龍星の杖を向ける。
「アイスランス」
俺は再度アイスランスを展開する。
ただのアイスランスではない。ルナが聖属性をエンチャントしたアイスランス。
俺は魔気の肉体を抉り取るように魔法を放つ。
「おいおい!! もう分かってんだろ!? 俺が魔気を纏っている限り、お前の攻撃は俺には届かない――ぐあっ!! 痛ぇ!! 何故だ!? 俺の身体は高純度の魔気に包まれているんだぞ!!」
そりゃあ、闇属性に聖属性は弱点だからな。
たしかにアイスランスは氷属性の魔法だが、ルナが聖属性をエンチャントしたおかげで2属性の魔法となっている。氷属性だけなら魔気に対して有効ではないが、聖属性が付与されているとなれば話は違う。
「教えてやろうか? 愛の力だ」
「愛の力!? そんな馬鹿みたいな理由があるか!?」
せっかく問に答えてやったのに、否定をされてしまうのは悲しいな。
だが、それはそれとして、
「馬鹿みたいとは失礼だな」
「そうですよ。これを愛の力以外に形容する言葉はありませんよ」
俺とルナはうんうんと頷く。
俺とルナの息はピッタリだ。これは誰が見てもベスト・オブ・夫婦。
「ふざけんな!! ダークリーパー!!」
リュカオンは右手に鎌を展開させる。
先ほど同様、赤黒い魔気で構築された禍々しい鎌。
相対すると直感で危険だと理解できるのが……
「
ガキン!! という音と共に確実に弾いた。
「な、なんだと!? 俺のダークリーパーが効かないだと!!?」
リュカオンは驚愕の表情を浮かべている。
「貴方がごときが私のアイク様に触れようとするなんて……許される訳がないじゃないですか」
ルナはとても良い笑顔で言う。
ただ強いて挙げるとすれば瞳にハイライトが映っていないことが気になるが、そんなことは些細なこと。
今まで
これが噂に聞く、バブみというやつなのか。
あぁ……このままルナが張った
「まぁ、だからと言ってお前ごときがルナを攻撃をして良い理由にはならないんだけどな」
俺はリュカオンにニヤリと笑う。
きっとその笑みは悪役のような笑みだろう。
「だからなんだよ!! 俺はやっと自由になれたんだ!! 新たな力を手に入れて……より好き勝手に力をふるって……あらゆる生物も!! 世界も!! 魔王様が与えてくれであろう
「そんなの自由でもなんでもないわ」
そんな身勝手な自由が許される訳がない。
そんなクソみたいな秩序のせいで、俺とルナの時間を邪魔してくるならば、俺が全部ぶち壊してやる!!
「俺が自由と言えば、自由なんだ!! この世界は力を持つ者が正しいんだ!! 誰にも邪魔をさせてやらねぇんだよ!!」
「でも先に私とアイク様を邪魔したのは貴方の方でしょ?」
ルナは冷ややかな目でリュカオンを見ると、
「私はアイク様と一緒にいられる時間を奪った貴方を許さないから」
ルナは俺に手を掲げると、
「エンチャント『聖属性付与』。
最大のバフをかける。
「って、ことだ。俺の嫁が許さないって言っているから、早いところ片付けさせてもらおう」
俺も早く戻ってルナとイチャイチャしたいからな。
「展開。クリムゾンキャノン×1000」
二つの炎が合わさるとより巨大になるように、
俺とルナの
「放つぜ。
これが今出せる
きっと明日はもっと強くなるだろう。
「「くたばりやがれ」」
俺とルナは声を合わせてリュカオンに
「ぐあああああああっ!!」
魔王崇拝者のリュカオンは俺とルナの
その肉体は塵も残さない。
後の仕事は
おそらく、協力者……ユークリッドあたりが二人を引き上げたのだろう。
とはいえ、俺とルナの勝利は変わらない。
「さて、帰ってイチャイチャするか」
「そうですね」
ルナは楽しそうに笑う。
俺達は腰を抱き合って、エルフ王国の王城に戻るのだった。
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