第41話 二人の勝利
「私がアイク様の一番になるの……私がアイク様を一番にするの。それが私だけの特権なんだから」
良かった~!! ルナの雰囲気的に闇堕ちラスボスルートかと思ったもん!!
ただ……結果はどうであれ、俺の嫁も怒っている訳だから……さっさと終わらせないとな。
「アイク様。これが私なりの愛です。受け取って下さい――『
ルナは俺に手を向けると、全身が軽くなった。頭も冴えている気がする。
「
だったら、やるしかないよなぁ!
俺は『龍星の杖』を構えて、
「させません!! ダークホライゾン!!」
「遅ぇよ」
俺は即座に魔法陣を展開した。ルナがかけてくれた『
「な、なんですか!! その火力は!!」
しかし、以前にかけてもらった速度を速めるバフと比べて、明らかに異質。
速度だけではなく、火力も恐らく体力や防御力、精神力まで上がっている。
体感ではあるが、バフのかかり具合は聖女であるアリサより上。
そもそもフォーチュンラバーでは、各ステータスに対して効果を及ぼすスキルしかないはずなのだが……。
「そうか」
思い出した。
原作の
まさか、その片鱗が出ているのか……?
「許せません!! 貴族が故に驕っている貴方達は何の苦労も! 苦痛も!! 知らないのでしょう!? そんな奴らに負けていいはずがないのです!!」
「なにが苦労も苦痛も知らないだ。お前ごときに何が理解る。少なくともルナは苦しんでいたんだ。呪われているとか言われて、王国中の人から、あまつさえ両親にまで見捨てられ……ボロボロになって『私をお助け頂けないでしょうか?』って言って、助けを求めて求婚した気持ちが分かるのかよ……!」
あの時のルナは悲痛の顔を俺は一生忘れることはない。
断られたら、それこそ行く宛のない不安。断れ続けられる恐怖は計り知れない。
だってブラック企業の時に研修で受けた否定され続ける研修ですら、心が折れかけたのだ。
そんなものよりも、数倍濃くした内容をまだ大人になっていない女の子が受けて良いわけがない。
「それならなおのこと魔王様の救済を手に取るべきではありませんか!! 魔王様の理想の世界は私達人類が選ぶことのできる最後の救済なのに!!」
「もう黙れよ。全人類が救われるってんなら、ルナを不幸にさせた時点でそんなやつ鼻から信じられないんだよ」
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れぇぇぇえええええ!!!!」
オルトロスは闇の魔法の乱雑に放つ。
その全てを俺は防御魔法で1つ1つ的確に防ぐ。ルナがかけてくれた
「クソがっ!! 馬鹿にしやがって!!」
オルトロスは焦りのあまり、口が悪くなる。
むしろ、それがオルトロスの本性なのだろう。
なんにせよ。
「ここで決めさせてもらう……行こうか、ルナ」
「はい♡アイク様♡」
俺はルナの腰を抱き寄せ、竜星の杖を
ルナも俺の抱きしめ、俺の身体に直接バフをかけた。
俺は勝利を確信して火属性の魔法陣を大量に展開する。
「中級魔法――クリムゾンキャノン」
かつて俺はルナに教えたことがある。複数の火をくっつけると反応で大きくなる。
だが、俺とルナが
「「くたばりやがれ」」
俺とルナは声を合わせて、魔法を放つ。
降り注ぐ火球は一つに纏まり、まるで巨大な隕石のようにオルトロスに降り注いだ。
「ぐ、ぐわぁぁぁああああ!!!」
そうして、俺達は魔人オルトロスに勝利するのだった。
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