ざまぁ確定の悪役貴族に転生した俺が、最推しのラスボスヒロインと結婚することになったので原作知識をフル活用して幸せになります~なお、嫁を馬鹿にした勇者は俺の敵じゃありません~
第34話 十分働いたと思うし、そろそろご褒美を……
第34話 十分働いたと思うし、そろそろご褒美を……
「あ、あの……アイク様? 皆様でお戻りになられておりますが……その、オーガの群れはどうされたのですか……?」
先に戻っていたカムラは驚いた顔をしていた。
「ん? あぁ、全部倒したが?」
俺はさも当たり前のように言う。
結果だけ分かれば、それでいいだろうから。
「ぜ、全部ですか!? まだ私とランスロット様がサルファの街に戻って数分しか経っておりませんが!!?」
そう思っているのは俺だけのようだった。
「嘘を言って、俺の得になにかなるのか? まさかとは思うが聖女や俺の妻まで疑う訳じゃあるまいな?」
「い、いえ……滅相もございません。たしかにアイク様や聖女様が嘘を吐く理由はありませんな。どうやら動揺をしていたみたいです。申し訳ございません」
「俺は構わない。だが今度もしも俺の妻――ルナに対して、侮辱のような言葉を吐いたとしたら、その時は覚悟してもらおう」
「はっ! このカムラ肝に銘じます!」
カムラは仰々しくお辞儀をする。
俺個人的にはルナが不快な気持ちにさえならなければなんでもいい。
究極的にはルナの幸せが俺の幸せなのだ。
最悪、片腕が飛ぼうがルナが幸せならば、それで構わないとさえ思っている。
「さすがブラックドラゴンを討伐したアイク殿だな。想像以上のことをやり遂げると思っていたが、まさかここまでとはな」
「ふん……さっきは『無理だと思ったら、すぐに引き返して来いよ。退路くらいは作ってやるから』とか随分とかっこいい台詞を言っていたのにな」
「お、おい……! あの数相手じゃ誰だって言っておくべきだと思うじゃないか!!」
ランスロットは顔赤くして怒る。
ランスロットよ……男のツンデレは需要ないぞ。
「そうだ、アリサ。一応、紫色の魔法陣――おそらく闇の魔法陣だと思うが……ついでに全て壊しておいた。しかし、今日は警戒するに越したことはない。そうは思わないか?」
「オーガを全滅させただけではなく、闇の魔法陣まで全破壊とはさすがです。警戒することに関しては、仰るとおりですね。でしたら、交代でサルファの街の入り口付近を交代制で警戒させましょう」
「助かる……あぁ、騎士が休んでいる間は好きなだけ旅館を使ってくれて構わない。まぁ、旅館を使ってもらうのは元よりそのつもりだったけどな」
「ありがとうございます。アイク様の慈悲に感謝申し上げます」
「いやいや、お互い様というやつだ」
慈悲って……。
俺がそんな殊勝な心構えを持っている訳がないだろう。
最終的には我が旅館の広告塔を務めてもらう予定なのだ。
その上で、無料で騎士を近衛兵のような使い方ができるのだから、あまりにもお得と言わざるを得ない。
せいぜいしっかりと働いてもらいたいものだ。
だが、今はそんなことよりも。
今日は我ながら十分働いたと思わないだろうか?
サルファの街に着いてから領主館の初のお披露目、急な聖女の来訪対応に、別口でのお
「いいか、カムラ。これから俺はとても重要な任務を与えるーー何人たりとも俺の部屋に近づけさせないようにしてくれ」
「か、かしこまりました。ちなみに、お食事は……?」
「あぁ、2人分適当に部屋の前に置いておいてくれ」
「ちなみに何をされるかお伺いしてもよろしいでしょうか……?」
「それはな……」
俺は隣いるルナに視線を向ける。
ルナは首を少し斜めに傾げる。あぁ、可愛い。とても可愛い。
「妻とイチャイチャするためだ」
俺は少しキザッぽく、ルナの腰を抱く。
「あ、アイク様……♡」
ルナは察して俺の胸に体重を預ける。
おうふ。めっちゃバニラの匂いがする。俺、この匂いがすげぇ好みなんだよな。
「か、かしこまりました……」
呆然とするカムラを背に向けて、俺はルナと屋敷に戻るのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます