ざまぁ確定の悪役貴族に転生した俺が、最推しのラスボスヒロインと結婚することになったので原作知識をフル活用して幸せになります~なお、嫁を馬鹿にした勇者は俺の敵じゃありません~
第27話 やっぱりアイク様の妻になれて幸せSIDE.ルナ
第27話 やっぱりアイク様の妻になれて幸せSIDE.ルナ
「まだまだ……!!」
私、ルナ・オルハインは訓練所で魔法の自主練をしていた。
私の名前がハンバルクの性になってから2か月が過ぎた。
アイク様と暮らし初めてから私の周りからの視線は大きく変わった。
アイク様が教会から白聖に任命されたことで、妻である私もその加護を負ったものになった。かつてと違い、私を呪われた者だと馬鹿にする人間はいなくなった。
そう考えると正しくは元ルナ・オルハインなのだろう。
だけど私にとってオルハイン姓は不必要なもの。
そう思えるようになったのは、全てアイク様のおかげだ。
ただでさえ私はアイク様のことを愛しているのに、
アイク様は私の気持ちも知らないでより深いアイク様という沼に引きずり込んでいく。
もう好きが止まらない。
だからこそ、私がアイク様の隣に立つために努力しなければならない。
それなのに、
「アイク様の魔法はこんなもんじゃない。もっと頑張らないと……!」
私は止めていた手を動かして魔法を展開する。
アイク様は私よりも優れた魔法使いなのに、驕ることなく自主練をしている。
そんなアイク様との実力を縮めるには、アイク様がこなしている努力の何倍もの努力をしなければ追いつける訳がない。そのうえで妻としての役目を果たさないといけない。
アイク様の傍にいられることが、私にとっての幸せだから。
「あれ? ルナ?」
「アイク様……今日も自主練でしょうか?」
声をかけたのは、私の旦那様のアイク様。
アイク様は私との結婚を認めて貰って頂いてから、見た目がかなり変化した。
少し丸々とした体型も良かったが、今は全体的なシルエットが細くなっている。痩せていってから徐々に元の顔立ちの良さが際立っていった。
正直に言えば、アイク様が私の元から去ってしまうかもって不安になる。
これ以上、格好よくなってしまったら他の女共が放っておかないだろうから。
「そうだが……今日も自主練なのは、ルナもだろう? 精が出るな」
「いえ、私なんてまだまだ……あまり上手くいってないですし」
不覚にも弱音が出てしまった。アイク様の前だと、つい弱気な言葉が口からこぼれてしまう。
私はまだまだ弱い。自分で気づいて、勝手に落ち込んでしまう。良くはないと分かっていても焦りが心を急かしてしまう。
「……ルナ。もしよかったら俺がルナの魔法を見てもいいかな??」
「え? よろしいのですか?」
とても魅力的なご提案だった。
きっとアイク様は失敗しても優しく笑って許してくれるだろう。
けど、同時に失敗はしたくないという気持ちもあった。
アイク様の前で恥ずかしいところを見せたくない。
「いいもなにも、俺から提案したんだが」
そう言って、少し困ったようにアイク様は笑った。
「ありがとうございます。それではお言葉に甘えさせて頂きます♡」
恥ずかしながら、私はアイク様にベタ惚れをしている。自分でも甘い声を出している自覚はある。だけどそれ以上にアイク様は私の甘ったるい声に嬉しそうに反応してくれる。こんなの病みつきなるに決まっているのに。
いや、今は余計なことは考えないでおこう。せっかくアイク様が私のためだけに魔法見てくださるのだから。
「いきます」
私はアイク様に認めてもらいたい。私は的に向かって、全力を持って火属性の魔法を打ち出した。
だけど、思ったよりも火力がない。
「申し訳ありません。あまり上手くいかなくて」
攻撃は的を焦がすだけに留まった。疲労のせいもあるが、いつもなら的を破壊することができるのに。
こんな自分が恥ずかしい。
「いや……十分だと思うが」
アイク様はそんな優しい言葉をかけてくれる。その優しさに甘えたくなる。でもそれじゃあダメなの。
「ただ……そうだな。火の魔法限定だけど、魔法をストックして、連続で放ってみてはどうだろう?」
「魔法のストック……ですか?」
「あぁ、魔法の発動を事前に準備しておくんだ。前もって準備をした方が色々と楽だろう? それでストックした魔法と同時に撃つんだ」
「……やってみます」
ストックをする魔法使いは多くはない。ストックをするくらいなら今放とうとしている魔法に全力の魔力を込めろ。
というのが今の魔法使いの当たり前の考えだから。
だけどアイク様が私にそのアドバイスをしたのは何かしらの意味があるだろう。
きっと私が想像もしていない結果になるに違いない。
「その前に、これを飲もうか」
アイク様は赤い小瓶を手渡す。
「これは……エクスマナポーションですよね? かなり高価なはずでは……?」
私はアイク様に尋ねる。エクスマナポーションは簡単に買えるものではない。そんなものを私ごときが使っていいのか? そんな意味を込めて私はアイク様に尋ねると、
「ルナの望む結果をこれくらいで得られるなら安いものさ」
アイク様は爽やかな笑顔で仰った。
「それに、きっと良い方向の感情なら上手くいくと思うぞ」
「……ありがとうございます」
私はアイク様から頂いたエクスポーションを飲み干す。一瞬で全身に魔力が沁み渡る。魔力が全回復した。
私は再びの火属性の魔法陣を展開し、両腕にストックさせる。
魔法をストックした上で魔法を同時に放つ。すると、二つの魔法は混ざり合い、巨大な火の玉になった。
「えっ!??」
こんな結果になるなんて聞いたことがない。しかも消費した魔力の量も、魔法の規模に対して、あまりに少なすぎる。
「どうして!?」
「火って言うのは、同じ火同士をくっ付けるとより大きな炎になるんだ。火であれば魔法じゃなくてもこの現象は変わらない」
この知識はどこからやってくるのだろう。
「面白いだろ?」
アイク様は得意げに笑う。その表情は年相応で不敬にも可愛いと思ってしまった。
だから、そんな疑問もどうでもよくなってしまった。
「はい♡ すごいです♡」
やっぱり私の
私はアイク様の妻になれて幸せだ。
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