ざまぁ確定の悪役貴族に転生した俺が、最推しのラスボスヒロインと結婚することになったので原作知識をフル活用して幸せになります~なお、嫁を馬鹿にした勇者は俺の敵じゃありません~
第14話 決闘~なお、嫁を馬鹿にした勇者は俺の敵じゃありません~
第14話 決闘~なお、嫁を馬鹿にした勇者は俺の敵じゃありません~
「呪いの力を持ちし魔女――ルナ・オルハインもこの世界には必要ないよなぁ?」
「は?」
「呪いの力って危ないやつだろ? みんな避けてんのがその理由だろ? 俺って天才だからよく分かるわ」
ユリウスは舌なめずりをしながら、ルナにねっとりとした視線を浴びせる。
「ただそうだなぁ……見てくれだけが良いから、俺様の下女にしてやってもいいぜぇ? もちろん、
「おい……殺すぞ、クソ野郎」
俺のことはいくら馬鹿にされようと構わない。
だけど、ルナと眼鏡を侮辱するなら話は別だ。
「え? なにモブ如きが調子に乗ってんの?」
「お前もなに調子に乗ってんだ? 勇者だかなんだか知らないけれど、初対面で、あまつさえ俺の愛する妻に対しての侮辱だ。受け入れられる訳がないだろ」
「はぁ……まぁいいや。これから俺の伝説が始まる訳だし? ちょっくらやられてくれや」
「ふむ、話はまとまったみたいだ。アリサ……申し訳ないが頼まれてくれるか? 他の見物人に被害がいかないように」
民を思う心優しき王というのは、主人公である勇者サイドから見えた一面らしい。
ギルガ王とはそういう人間だ。自分の得になるか損になるかしか考えていない。
言い換えれば、損にしかならない人間には冷たい対応しかしない。
「承知致しました。防御魔法展開」
アリサと呼ばれた杖を持った金髪の修道服姿の美少女が防御壁を張る。
「初めまして二人とも。私は聖女アリサ・ヴァンテッドと申します。私が魔法壁を張りますので、どうぞお好きなように暴れて下さい」
アリサ・ヴァンデッド……フォーチュンラバーでは攻略ヒロインの一人だった。聖女が故にフィールド攻略中も回復魔法に優れていたから仲間にできたらかなり心強い人物だった……逆に考えれば敵にするとかなり厄介な敵になるってことになるけれど。
そう考えると、対アリサ用の策を考えなければいけない。攻略ヒロインの一人ということは勇者側の人間。いずれ敵として戦うことになることに違いないのだ。
ただ実際問題、防御と回復に優れたヒーラーポジションの相手が一番対処に困るんだよなぁ。
「すまないな。聖女の力をこんなことに使ってしまって」
ギルガ王はアリサに優しい笑みを浮かべる。
「いえ、構いませんよ」
正直にいえば、ギルガ王と聖女のやり取りをみてるだけでも腹立たしい。
そうだ、今は二人よりももっとムカつく目の前のクソ野郎に集中しなければ、
「それでは……ルナ・オルハイン。貴女も後ろに下がってください」
アリサがルナにそう言うと、ルナは心配そうに俺を見つめて。
「アイク様……どうか無事に……」
「安心してくれ。ルナを侮辱したあいつを許すつもりはないから」
「……私だって許すつもりはないですよ」
そうたしかに小声でルナはそう言ってアリサが展開した防御壁の向こう側に言った。
「それでは両者、模擬線を前に何か伝えたいことがあれば」
「あ? そんなもん俺の勝ちで決まりだから言うことなんてないっしょ?」
勇者はそう言うものだから、
「くたばれ。クソ野郎」
俺は中指を突き立ててやった。勇者は少しだけイラっとした顔をした。
「それでは、両者構えて――それでは始め!!」
「くらえ! クリムゾンキャノン!!」
開幕と同時に勇者は火属性の魔法を放つ。
勇者が放った魔法は名前からしてしては高そうな火力をしている。だが、
「ファイヤーボール」
こんな攻撃はマーシャ姉の足下にも及ばない。
「なっ! そんなバカな――ぐ、ぐわぁああああああ!!!」
俺のことを侮っていた勇者の思惑とは裏腹に、
俺が放ったファイヤーボールが勇者の魔法をかき消して勇者の身を焦がす。
そして、S級魔法使いのアリサが展開していた魔法壁に当たって霧散した。
「あちぃ!! あちぃよ!!! こんなの聞いてない!!」
魔法が消えてもなお、勇者は無様にも地面をのたうち回っている。
「なんでだ!! 普通、勇者に転生したんだから、俺が最強に決まってるはずだろう!! ふざけんなよ!」
「……どうやら、まだお披露目すべきタイミングではなかったか……ハンバルクのセガレよ。すまないが、今回はここまでにして頂けないだろうか」
ギルガ王は少し早口に言う。
「仰せのとおりに」
「あぁ、それと我のワガママに付き合ってくれてありがとう。ここからはルナ殿と共々パーティを存分に楽しんでくれたまへ」
「ありがたき幸せ」
ひとまずは事なきを得たようだ。
その証拠に、ルナが笑顔で俺に手を振ってくれている。
せめてもの腹いせにルナと楽しんでやろう。
時折『何かズルをしているに違いない』やら『勇者様はあのゴミを立てるためにワザとやられたのだろう。それなのに勇者が手加減しているのに気づかないなんて』という謎の擁護の声が聞こえるがルナの前では関係ない。これからは俺とルナのダンスの時間だ。
ダンス中、ルナは『さすがアイク様……勇者なんて敵じゃありませんね』と言って、顔を綻ばしてくれた。だが油断するな。俺はルナの笑顔を守り抜かないといけない。
ここにいる全ての存在が敵になろうとも。
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