第2話 じょーくさ!じょーく!なっはっは!

 探索者協会の前にいまーす。いえーい。


「あっつい中で何してんだ俺は」


 中に入ると、いろんな奴がいた。剣持ってるやつ盾持ってるやつ弓持ってるやつ…お、ふんどし一丁の漢いる。だれか警察呼んでー!


「こんにちはー」


「こんにちは。本日はどうされましたか?」


「探索者登録しにきましたー」


「畏まりました。では、この画面に手を置いてください」


「はい」


 これは、確かスキルを確認するやつだ。

 そもそも、探索者自体スキルを持ってないとなれないんだよな。というか、ダンジョンに入れない。

 んで、スキルってのは、まあ後天的に手に入ることもあるけど、9割くらいが先天的な物だ。


「……ありがとうございます。では、次にこちらに記入をしてください」


「はーい」


 出された紙を見ると、"ダンジョン内では命の保証はないよ"だとか、"ダンジョン内での喧嘩とかには関わらないよ。でも殺し合いならそうとは限らないよ"とか、"スキル等の力で一般市民への攻撃は許されないよ"とかっていう、当たり前のもんが書いてあった。一番下には、名前と、探索者名を書くところがある。……探索者名ってなに?


「探索者名ってのは、どいうもんっすか?」


「探索者というのは、世に名前が広がることもしばしばあります。その時、本名を出したく無い方のための物です」


 なるほどー。確かに、最近よくニュースででる(らしい)し。なんなら、ダンジョン配信なる物もあるようだし。配慮ってやつやんな。


「じゃあ、これで」


「はい、かしこまりました。では、命を大事に、決して無理はなさらないよう、お願いしますね、田中たなかさん」


「任せといてくださいよ」


 よし、今日から俺の名前は田中だ!あんな電力柱みたいな名前はおさらばじゃい!






「てことなんよ」


「なにがっすか?」


 現在、オセロに負けた後輩の所に、いまーす!ぴーすぴーす。


「てか何してんすか?何しにきたんすか?」


「見てわからんか?」


「分かりたく無いから聞いてんすけど!」


 現実逃避はいかんよー?


「卵焼いてんだよ」


「なんで!?」


 腹減ったから意外に何があるんだよ。理由。


「んなこたぁどうでもいいんよ」


「良くない…」


「俺、探索者なって正式に田中になったわ」


「裁判所行かないと改名はできないっすよ?」


「へー」


「反応うっすぅ…!」


 喧しいやっちゃなぁコイツ。


「おら、卵焼きできたぞ」


「もういいや…って、探索者なったんすか!?」


「反応遅いな。回線悪い?お前」


 もしかして月に居る?


「確かスキル持ってないとなれないんじゃなかったすか?持ってたんすか!?」


「おう」


「なんで言ってくれないんすか…」


「いやぁ、俺はお前みたいに自分の方が優れてる事の快楽に酔いしれる程度の人間じゃ無いからな」


「え、キレていいすか?」


「おぉ、落ち着きたまえジョークさジョーク!HA☆HA☆HA」


「うぜぇ」

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勝ち星集めの戦闘狂(まじめ) 不定形 @0557

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