日曜日
学校に行けば私物を壊され、暴力を振るわれ
早速不登校になった僕には真くんという好きな人がいた
恋愛感情というか、とにかく大好きだった
真くんになりたかった
ボロボロのジーンズとドクターマーチンのブーツを履いた彼は
周りにいる誰よりもカッコよかった
雨の降る日曜日の夕方によく彼のことを思い出した
ユーミンの「雨の街を」がラジオから流れ
机の上においたシャープペンシルがライトに反射して
虹のようだった
何時間でもそうしていた
彼はブルーハーツが好きだったが
僕は人間椅子が好きだった
ブルーハーツは反原発だとか反戦だとかを歌っていたが
人間椅子は君の小指を食べたいだとか歌っていた
筋肉少女帯も僕は好きだったが
真くんはビートルズが好きだと言った
友情でもないし恋でもない
なんだよな
だっさいなあと思いながら部屋に寝っ転がって雨の音を聞いていたんだけど
欲しいなあ、ドクターマーチン、かっこいい
あんな風にギターを鳴らせたらいいのに
うちのお母さんはそういうの嫌いだ、おそらく
親に養ってもらっているうちは仕方ないんだなあ
日曜日の記憶がない
真くんのことか、彼にまつわることしか
穏やかな口調で喋る彼は僕が14歳になる頃に
実家に帰ってしまった
それも日曜日だった
ちょっと年上だった彼は
実家に帰って働くと言った
パンクスなのにかー
働くって正気かよと言ったら
お前はまだまだだ
世の中は金だ
地獄の沙汰も金次第だぞ肝に銘じろよ
元気でな
高校には行けよときた
高校には行こうと思った
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