第2草 『一分先は冷め』

 カップ麺が食べられるようになるまで3分

世間の時間の尺度のひとつとして有名な事実である。


「ピピピ、ピピピッ、」

 タイマーが鳴った。

 その時、運が良いのか悪いのか友人から電話がかかってきた。


 戻ってきた時には麺は伸び切っており、汁は冷たくなっていた。麺が美味しく食べられるタイミングを逃してしまったのだ。

 君ともう一度やり直すために、僕から謝るタイミングを逃した時と同じように。冷めた麺の温め方など僕は知らない。


君の気持ちが冷めるまで、あと1分

君の気持ちが覚めるまで、あと31,010,400分

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短編読切 薫衣草 夏川 @Abnomahou

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