見えないところで




 いつも外を見てばかりの生徒だ。どんなに注意をしても辞めない。このままでは音読の順番がきて、どこを読むのかが分からずに立ち尽くすだろう。


 しかし見れば見るほど、こちらが吸い込まれそうだ。そんな正直な事は胸に仕舞い、一体何を考えているのかと休み時間に訊ねてみる。するとその生徒は、目を輝かせた。


「空に住む龍は、見えないところでいつも助けてくれてるの」


突き付けられたノートには、澄んだ青空と緑が描かれていた。



*あとがき*

いつかの私の出来事のアレンジです。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る