てをつなぐ




 掌いっぱいに指先を握って、存在感を得る。沢山のこんにちはに包まれて、大きくなった。

 辿々しい足取りに持っていかれないように、手にぶら下がる。頑張れと、導かれながら。

 また、やり直せないだろうか。差し出した勇ましい手が、壊れたものを繕う。

 リングが光る手が、恥じらいながら絡んだ。新しい、永遠の愛を約束して。

 お手伝いできる事は、と聞かれては、私は老いた手を直ぐに差し出す。何も要らない、ただ、手をつないでと。




❇︎あとがき❇︎


日々、おばあちゃんと過ごす習慣があります。

ご老人からは、話の他にも行動から学ぶ事が沢山ありますね。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る