十話 最初の属性
「俺を倒せそうか?」
ゴギは海にそう聞くと、海は再び立ち上がってゆっくり歩いて武器ミラーの前に立った。
「……片手で持てる剣」
海はそう言って出現した剣を手にした。
「まだやる気か……いいぞ来い」
海とゴギの戦いが再び始まった。
*
数十分間、ゴギと戦っていた海が息切れしながら倒れた。ゴギにはダメージが一切受けてない様子だった。
「海、もう止めだ。次の生徒を試す」
「あの……海は相当なダメージを喰らっています……!」
「心配するな」
ゴギは室に置いてある液体が入ったビンを手にした。
「これはポーションだ。飲め。回復するぞ」
ゴギは透明な液体が入っているポーションと呼ばれる物を海に渡した。
「次はお前だ。バケダラ」
「はい!」
「俺は女でも手加減しないからな。先生変えてもらうなら今の内だぞ」
「いいです! このままでお願いします!」
その後数十分間、ゴギは武器無しのバケダラに連続で攻撃したが、バケダラは刀でゴギの全ての攻撃を受けきった。
「バケダラやるな……ただ者ではない」
「ありがとうございます!」
「これで二人を試すのは終わりだ。一旦俺は教室を出る」
ゴギはそう言って教室から出た。すると海がバケダラの元に近付いた。
「……お前は何者なんだ」
「お前じゃなくてバケダラ! 名前で呼んで!」
「……面倒だ」
「呼んでよー! 一緒に先生倒しにいってやらないよ!」
「俺は一人が良い」
「上級の先生はみんな三十代だけど本気出したら最強レジェンド並の強さがあるって噂されているのに……! 一人じゃ無理だよ!」
「なんだと……?」
海はバケダラを睨んでそう言った時、ゴギが大砲を持って教室に戻ってきた。
「この魔法アイテムを使う。これは連続で色んな物が飛んで来る大砲だ。海は攻撃を見てよける力をつけた方がいいと思ってな。これを持ってきた」
「それは……危ないアイテムですね……」
「魔法学校には色んな不自然魔法が込められた物がある。それらで魔法に慣れ、強くなるんだ」
*
996番目の教室で授業を始めてから数時間後、潮とサギフエがカイグレのムチを喰らって倒れた。
「いいねぇぇ……さっきより倒れるまで五分長くなったよぉぉ……!!」
「そ……そうなの……」
「ヒィ〜ヒィッヒィッヒィ〜! そろそろ自然魔法の属性が判明する頃じゃないかい……! ヒィ〜ヒィッヒィッヒィ〜!」
「笑い声が……」
潮はそう呟いて気を失った。
「う〜ん……先生が喋らなければ集中してよけられるのに……」
倒れているサギフエはそう呟いた。
そして数分後にカイグレが笑い終わった頃、カイグレはポーションを目覚めた潮とサギフエに渡した。
「だ……大丈夫なのか……?」
「毒とか入ってるわ絶対……」
「毒はないよぉぉ〜……! さっさと飲まないとムチを打つからねぇ……!!」
「分かった分かった……!」
潮とサギフエはポーションを飲んだ。
数分後、体力と傷が癒された潮とサギフエはカイグレの前で立って並んでいた。
「アァ……ちょっとサギフエェ……魔法を出そうとしなさい……」
「え?」
サギフエはカイグレに言われて魔法を出そうと手に力を込めたが魔法は出せなかった。
「全然出ないわ……」
「うわっ!!」
潮はサギフエの意表を突いてサギフエの後ろから叫んだ。サギフエは驚いた表情をした。
「なにすんのよ!!」
サギフエは怒りの表情で潮にそう言った後、潮の右頬を殴った。
「驚いた衝撃で出るかなと……」
「それしゃっくりの止め方よ……」
「サギフエェ……落ち着いて魔法を出してみなさいぃ……」
カイグレはサギフエにアドバイスすると、直ぐにサギフエの手が凍った。
「凄い! 出せたわ!」
「お〜! サギフエは氷属性か!」
「ヒィ〜ヒィッヒ〜。サギフエは焦っていたから出せなかった……氷属性に求められるのは冷静さァ……」
「なるほど……! 焦っていたから出せなかったのね!」
「次は潮の番よぉ……」
「ふっ……我はもう出せるぞ!」
潮はそう言うと、手のひら上に土を出した。
「え!?」
「我は優秀だな!」
「オォ……潮いつの間に……凄いぃぃ……」
「なんか潮に先越されたの悔しいわ」
「これでぇ……二人の属性が分かったァァ……その自然魔法を出す感じを忘れないようにねェェ……!」
「はい……」
「さぁ……さっきの授業再開よ……! アヒィーヒィッヒィッ!」
カイグレはそう言うと、ムチに雷の魔法を込めた。
「もうムチ打ち再開!? しかも雷流れてない!?」
「自然魔法で対抗しなさいぃぃ〜〜……! アヒィ〜ヒッヒッヒ〜!」
「気分が高い時アヒィになるの気になるな……」
*
一方その頃、997番目の教室ではドラドが右手で持つピコピコハンマーのピコピコ音が鳴りまくっていた。
「いたっ!」
壁にぶつかってそう叫んだライノは倒れた。
「じゃあ!! この辺で休憩しよう!!」
「先生! ずっと聞きたかったのですが、なんで武器はピコピコハンマーなんですか!?」
「颯!! いい質問だ!! 先生が本物のハンマーを使うと死ぬかもしれないからな!!」
「なるほど!! だからピコピコハンマーなんですね!! 先生は凄いですね!!」
「休憩が終わったら自然魔法を出してみよう!! 自然魔法を出す時は心が大事なんだ!! 属性と心には関係があることを知っているな!! 俺は光だから凄いポジティブだ!!」
数十分後――
「よし!! 休憩を終わろう!!」
ドラドはそう言うと颯とライノは立ち上がった。
「自然魔法を出そうとしてみるんだ!!」
ドラドはそう言うとライノの手から土が出てきた。
「土が出た!」
「おっ! ライノの属性は土だ! おめでとう!!」
「おめでとうライノ!」
颯はそう言って拍手した。
「颯はどうだ!?」
「う〜ん……出そうで出ません!!」
「いや……!! なにか空気の流れが!! これは!!」
「え!? どういうことですか!?」
「つまり風だ!! 颯の属性は風だ!! 間違いない!!」
「なるほど!! 風ですね!!」
「よし!! 二人の属性が分かったところで……少し本気を出そう!!」
ドラドは手にしているピコピコハンマーを光らせた。
「シャイニングピコピコになったからには覚悟しろ!! 授業再開だ!!」
(シャ……シャイニングピコピコ……強くて面白そうだ……!)
ライノは光っているピコピコハンマーを見てそう思った。
*
一方その頃、998番目の教室では爽と凪が立ちながら全身をロープで縛られて苦しみの表情を浮かべていた。
(自然魔法は生き物には効き辛いって教わったけど……本当に大丈夫かな……)
「頑張って……!」
「うぅ……だめだ……」
「じゃあ凪にかけた毒は解除するね」
「ふっ……また俺の方が長いな……! 凪……!」
「爽は毒に強いのかな……もしかしたら爽の属性は私と同じ毒かもしれないね」
「へぇ〜そうなんですか……ならもっと強めの毒ください!」
「じゃあ爽が倒れる程の強さまで魔力を強めますね〜!」
「よっしゃーー!!」
(先生の毒を喰らうことに興奮してる……)
数分後、爽と凪はポーションで回復してその直後に爽と凪は手から自然魔法を出そうとしていた。
「先生出ません!」
爽はカジカにそう言った時、凪の手から闇が出た。
「僕は出ました……闇でした」
「おぉ〜! 凪は闇属性だね」
「先生! 俺はまだ出ません!」
「う〜ん、じゃあ爽に自然魔法の出すコツを教えるから聞いてね」
「はい!」
「属性と性格が関係してるって聞いたよね。闇は後ろ向きだとか。だからもし爽が毒属性なら嫌な奴になれば魔法を出せるかもしれないよ」
「う〜ん……嫌な奴か……」
「それかいじわるなことを考えたら出せるかもね」
「なるほど! やってみます!」
爽はカジカにそう返事した後、魔法を出そうと踏ん張った。すると爽の手から液体の毒がほんの少し出た。
「カジカちゃん! すぐ魔法を出せるコツを教えてさすが!」
「先生だからね〜」
「あっ……! でもカジカ先生は優しいのに毒属性とは思えないんですけど……」
爽はカジカにそう言うと、カジカは爽を睨んだ。
「……私はうっかり本気を出さないように優しくしているから、普段の私はもっと魔力は強くなるんだよ」
(優しさで優しくしてるのか……怖いね……)
*
数時間後、999番目の教室ではゴギが海を倒した。
(海はこれで10回負けた……)
「まだ自然魔法が出ないか海! バケダラはすでに光属性だと発覚しているぞ!」
「頑張って海!」
「海、恐らくお前は俺と同じ石属性だ。石属性はいつでもお前の好きな剣が作れるぞ」
「た……確かに海は石属性かも……!」
ゴギは教室に置いてあるポーションを海に渡した。海はポーションを飲み干して立ち上がった。
「再開するぞ海!」
ゴギは海にそう言って鉄パイプを持ち、何も武器を手にしていない海に向かって走っていった。
「えぇ!? 先生! 海は武器ミラーから武器を手にしてないですよ!」
バケダラはゴギにそう言ったが、ゴギは海の頬を鉄パイプで殴った。
「くっ……!」
「魔法を出して防いでみろ!」
「えぇ……! 酷い!」
「酷くはない。自然魔法は生き物にはダメージは極端に与え辛くなる。これも生き物に当たれば柔らかさはスポンジになる。だが心は当たったときの感覚は本物と変わらんが」
「それでも酷いよ!」
ゴギは海の顔に何度も鉄パイプをぶつけでいった。
「海! 落ち着いて! 石の魔法を出しやすい感情は頑固だよ! 迷いを無くして魔法を使う自分を受け入れて!!」
「迷いか……なるほど……」
ゴギは海に向けて鉄パイプを振るって攻撃した。しかし海は石の剣を右手で握るよう出現させ、その剣でゴギの鉄パイプによる攻撃を防いだ。
「おぉ……!! 遂に出たな!」
「やったね海!」
「海、お前はバケダラに感謝するべきだ」
「感謝か……」
「お前はバケダラの助言でお前は僅かにあった魔法を使いたくないという心の部分を消した。だから魔法を出せたんだ」
「ねぇ! ありがとうって言ってよ!」
バケダラはそう言って海の顔を見つめ始めた。
「バケダラ……お礼は言わん」
「えー……海! 絶対私のお陰で剣を出せたと思うのにー!」
バケダラはムスッとした顔になり、両頬を膨らませた。
「素直じゃないのも石属性の特徴だがな」
「そんなぁ……」
「海、お前の次の課題は剣を自由に出せる様になることだ。自由に出したり消したり出来るようになった次は一本の剣で大砲の弾を何発を落とせるか試せ」
「分かった」
「次に俺はバケダラとバトルする。いいな」
「は〜い……」
*
数時間後の午後六時頃、バケダラを除く魔法学校の生徒七人は固まって魔法学校を出てすぐの道を歩き始めた。
「みんな自然魔法の属性判明したの?」
「わかったぜ! 俺は毒だった!」
「え……? あんた毒……!?」
「爽は毒か……女には優しいが男には厳しいから毒だった……という感じだろ」
「そう言う潮はどうなんだよ」
「我は土だ」
「僕も土だった〜」
「土か……? 土属性の感情ってなんだった?」
「土の魔法が強く出されるのは穏やかな時よ」
「えぇ〜? お前穏やかかぁ……?」
「……それは我も自覚している」
「あ……自覚してたのか……」
「メダカ先生が言ったと思うけど、神様は教室にいる人の最初の属性をいじるのよ」
「我は覚えているぞ。嫌がらせ防止だったか」
「ねぇ他の人も自然魔法の属性を教えてちょうだい。ちなみに私は氷だったわ」
「僕は闇……」
「確かにあなたは暗いから闇で合ってそうね」
「ちなみに私は風だ……!」
「ふ〜ん……風だったの」
(光かと思ったけど違うのか……)
「それで? あんたは?」
サギフエは海を見てそう質問した。
「石」
「なるほどねぇ……潮以外は性格にあってそうだけど」
「俺の毒も!?」
「多分爽はゲスい人なのよ」
「俺良い人だぜ〜……」
「じゃあ二人共、属性が合わないと感じたら属性を自由に変えられる施設がサザエのあるからそこへ行くといいわ」
「サギフエ分かった〜」
「本当にムベンガをすぐ助けに行かなくて良かったのか……」
落ち込んでいる表情になっている颯は不意にそう呟いた。
「颯! 強くなってからじゃないとムベンガ救出に行けないの分かってるの!?」
「分かってはいるが……」
「颯……お前は普通に弱いんだから……気持ちは分かるが俺だって妥協してんだぜ……」
「颯、今は強くなることだけを考えろ」
潮は颯にそう言うと、爽は颯の左肩に右手を乗せた。
「ちゃんと強者になれよ!」
「あぁ……分かってる……!」
「爽……あなた『強者になれよ』って言ったけどあなたも世界全体から見たらそこまで強くないわよ」
「まぁね……俺は先生の毒で普通に気を失うし……」
「とにかく颯、勝手に私の家を抜け出すんじゃないわよ」
「分かってる……今はムベンガの無事を祈るしかないのは……両親が言っていた人から狙われる力を使えたら……」
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