三章 魔法学校上級の授業
九話 上級の先生
「同じ最強レジェンドになった学長は今朝、娘を救出しに向かいました。最強レジェンド同士の戦いをあなた達は入れますか?」
「う〜む……今の我達では入れんな……」
「お前弱気だなぁ」
「爽、我は知らないが最強レジェンドを舐めない方がいいぞ」
「あっそ」
「あの……!! 提案があるんですけど……上級の授業を受けさせてもらえませんか!?」
颯はサヨリにそう提案した。
「上級の授業? なんだそれは?」
「上級の授業……それは魔法でのバトルのことについて教えてくれる上級の先生のことですが……」
「上級の授業って……颯正気なの?」
「正気だ!」
「上級の授業ってどんなの〜?」
「かなり厳しいで有名よ」
「上級の授業を受けたところで最強レジェンドと戦えるかどうか怪しいですけど……」
「その上級の授業の内容はなんだ?」
「はい……上級の授業を担任する四人の先生は全員個性的で厳しく、ずっと誰も卒業出来ていないのです……」
(誰も卒業出来ていないだって……? なんかやばそう……)
「子供とかもその授業を受けに来るの?」
ライノはサヨリにそう聞いた。
「いいえ……魔力を宿すことが出来る年齢は十八歳以上だと決められていますのでキッズは来れません」
「へぇ〜」
「ちなみに秘書さん。私と颯以外は昨日この世界に来たばかりで分からないことが多いのよ」
「俺は若さでも十分勝負出来ると思うけどな!」
「爽! 良いことを言った!」
「全く……あの二人は自信過剰ね」
「はぁ……本気で言っていますか……?」
「はい!」
「では……上級の生徒を卒業したあとに学長の手伝いが出来るかどうか判断させてもらってもいいですか?」
「判断……分かりました! 物凄く強くなってみせます!」
(みんなに上級の授業を受けさせて様子を見た方がよさそうね……その間に学長がムベンガを救ってくれたら良いけど……)
「分かりました。とりあえず上級の授業を受けられるよう上級の先生方に連絡してみます」
「一刻も早くムベンガちゃん救出に行きたいし自身あると言ったが……俺は魔法に関して全く分からねぇ。だから少しだけ勉強してから行くことに決めたぜ」
「では爽もムベンガ救出を手伝ってくれるのか!」
「さっきから俺のセリフを聞いてりゃ分かるだろ!」
「ありがとう! 爽!」
「ちなみに上級の授業の授業期間は二週間ですが……」
「に……二週間!?」
「嫌なら今すぐ行きますか?」
「う〜ん……」
爽は表情に葛藤が出た。
「爽、サソリが殺さずにわざわざムベンガをアワビ帝国に連れていったらしいから多分狙いは監禁よ。すぐに死なないと思うわ」
「そうだな……確かに……」
「でも二週間も命の安全があるかは分からないけどね」
サギフエはそう言って数十秒後、爽は右手を挙げた。
「俺はやっぱり上級の授業を受けるわ。ただ、二週間も待たないかもしれんが」
「そこは二週間我慢しなさい爽」
「我慢しよう……近道するには回り道した方が良いって聞いたことがあるからな……」
「……分かりました。では一旦ここにいる人で上級の授業を受けると言う人は全員挙手して下さい」
サヨリはそう言うと、颯と爽と海は手を挙げた。
「海も受けてくれるのか!?」
「あぁ」
「私はムベンガを助けようと思わないけど……最初に卒業出来たら歴史に名を残せるから私も参加するわ」
サギフエはそう言って右手を挙げた。
「サギフエも受けるのか……」
「悪い?」
「個人の自由だが……ムベンガ救出に行かないのに受けるから気になるだけだ」
「そう言うあんたは参加するの? 私の家でお留守番してても良いのよ」
「いや……二週間で一気に強くなれるらしいから我も受けよう」
潮はそう言って右手を挙げた。
「サギフエも受けるなら僕も受ける〜」
ライノはそう言って右手を挙げた。
「一人だけ受けないのもあれだから僕も受けます……」
凪は小さい声でそう言いながら左手を挙げた。
「七人……全員ですか……了解しました」
「そうだ……授業を受けるのにお金かかるのか? 我達はお金無いぞ」
「大丈夫よ。お金かかっても私が全部払ってあげるから」
「元々お金は取っていましたが、授業を受けに来る人達が来なくなったので無料にしています。それでも受けに来る人はほとんどいませんが」
「あら……無料なの……残念ね」
「何が残念なんだサギフエ……」
「はい! 出来たら俺の担任は女の先生がいいです!」
「爽、女の先生だから楽ってことでもないと思うわよ」
「俺は……女の先生に手取り足取りやられたい……!」
「あ……爽はそんな男だったわね……引いていたの忘れてたわ」
「サギフエちゃん! もう引かなくていいぜ!」
「そう言われても困るわ。一生引いた目で見るから」
「ガーン……」
「よし! 手続きしている間に円陣組むぞ!」
颯はそう提案した。
「それ意味あるか?」
潮は颯にそう聞いたが、颯は海と凪の肩をつかんで周りに円陣を組むよう仰ぎ、七人は円陣を組んだ。
「みんな!! 一緒に上級の授業を受けると言ってくれてありがとう!! 頑張るぞ!!」
「おぉーー!!」
颯の声掛けに爽とライノは応じた。
「ふ……二人だけか……応じてくれたのは……!」
「私は行かないからね」
「僕とかはノリ良くないし……」
「うち合わせをしないと分からんぞ」
「分かった……頑張るぞの後におーって言ってくれ!」
「潮……お前打ち合わせとか言うな……!」
「もう一回行くぞ! ムベンガ救出するぞーー!!」
「おーー!!」
颯の声掛けに大きな声で爽と潮とライノが反応し、小さい声で凪が反応した。
「……良し! 声出して無かった人も頑張るぞ!」
「ねぇ、これ言うまで終わらないの?」
「いや……! 恥ずかしいならしょうがない! でもみんなの気持ちは伝わったぞ!」
「颯は良い人だなぁ」
海・爽・颯・凪・潮・ライノ・サギフエの七人は魔法学校上級の先生と会うまでその場に留まり始めた。
*
一方その頃、アワビ帝国城の牢屋に一人が収容されようとしていた。
「魔法はちゃんと道具で封じているな! 入れろ!」
サソリは一人の男を運んでいる男二人にそう命令した。
「うっ……!」
男二人が運んでいる男はムベンガの父のウオノエだった。そのウオノエは牢屋の中へと入れられた。
「兄……なぜ一人で来た? その焦りは親だからか……?」
サソリは兄を不思議そうに見てそう質問したが、ウオノエは答えなかった。
「大勢で来てもここは私の帝国だ。さらに強い傭兵を何人か雇っている。たった一人で我が帝国から娘を取り返すことなど不可能だったのだ」
男二人でウオノオを収容した牢屋の扉を締めて鍵を掛けた。
「そこで娘がどうなっていくか妄想しながら過ごすといい」
*
颯達がいる魔法学校の学長室の扉が開き、海に魔法学校の話をした髪が白色の女性と思われる者が学長室に入って来た。
「あの……私も上級の授業を受けたいです!」
「え……あなたも上級の授業を受けたいんですか!?」
「はい!」
「では……名前を教えて下さい」
「私の名前はバケダラです! よろしくお願いします!」
(今入って来た女……俺にここへ行くよう言った人か……)
「バケダラちゃんすごくかわいいね!」
爽はバケダラの顔を見て褒めた。
「……ありがとう!」
(苦笑いで答えたわね……)
「みなさん、上級の先生が全員来たので挨拶しに行って下さい」
サヨリは上級の授業を受ける人達にそう告げると、八人に数字が書かれてある紙を渡して回った。
「上級の先生は全員で四人なので、二人ずつそれぞれ担当してもらうことになります」
上級の生徒を受ける予定の八人は上級の先生がいる教室の場所を確認し始めた。
「我の担当になる教室は……996番目!? そんなに教室多いのか!」
「996……私はおちびちゃんと同じ先生なのね」
「おちびちゃんじゃない! 潮だ! 二度とそう呼ぶな!」
「ご……ごめんなさいね潮……そんなに怒ると思わなかったから……二度と言わないわ」
「じゃあえっと……お前……よろしくな……!」
「ちょ……あなたも駄目じゃない……私はサギフエよ……」
「すまんサギフエ……」
「そうか! 私は997番目の教室か!」
颯はそう言うと、ライノが颯に近付いた。
「君も997番目?」
「おっ! ライノと担当してもらう先生が同じだな!」
ライノが持つ997番目の教室の場所について書いてある紙を持た颯はそう言った。
「一緒に頑張ろう〜!」
「よろしく! ライノ!」
「……998番目の教室かお前は」
爽は998番目の教室の場所について書いてある紙を持つ凪に話しかけた。
「よろしく」
「よろしくな。あぁ〜……女の先生来い〜……!」
「来るといいね……」
バケダラは999番目の教室の場所について書かれてある紙を持つ海に近付いた。
「君と同じ先生だね!」
「あぁ」
「それでは皆さん健闘を祈ります。それぞれの教室に移動をお願い致します」
「手続きありがとうございました!」
颯はサヨリにそう言ってお辞儀した。
「バイバイ秘書ちゃーん!」
爽はサヨリに向けて右手を振った。そして八人は学長室から出た。
*
潮とサギフエは窓から一切光が漏れ入っていない真っ暗な魔法学校の996番目の教室に入った。
「部屋が暗いわね……明るくしておきなさいよ」
サギフエはそう言うと教室全体に置いてあるロウソクの火が全て灯って教室全体が少し明るくなった。
「ヒィ〜ヒィッヒィッヒィ〜あたしの名前はカイグレ……属性は雷よ……! よろしくねぇ……!」
教室にいた三十代くらいの邪悪な気配をかもし出している女性はそう自己紹介した。
「ちょっと喋りが変だな。なにかを呪いそうだ」
「ちょっとどころじゃないわ……かなり変……」
「失礼ねぇ……いいかい……あなた達にはきつい授業を行ってもらうから覚悟しておくことだよぉぉ……!」
カイグレはそう言って邪悪な雰囲気をかもし出しているムチを取り出した。
*
颯とライノは997番目の教室に入ると教室に一人の三十代くらいの男がいた。
「よく来た!! 俺はドラドだ!! 属性は光!! よろしく!!」
教室にいた男は颯とライノにそう自己紹介した。
「先生! よろしくお願いします!」
颯とライノは同時にドラドに向かってそう言い、お辞儀した。
*
爽と凪は998番目の教室に入った。教室に一人の三十代くらいの穏やかな表情をしている女性がいた。
「いらっしゃ〜い」
「しゃーー!! 女の先生!」
爽は教室にいる女性の姿を見て歓喜した。
(本当に女の先生にしてくれた……)
「先生かわいいですね!」
「あ……ありがとう……私はカジカで属性は毒。宜しくね〜」
「カジカ先生……ここでは何をするんですか……?」
「先生とバトルするの」
「えぇ!? バトル!? 俺、先生と戦いたくないんですけどぉ……!」
「そうなの……じゃあ先生の体力を0にしたら卒業でいいよ」
「えぇー! 興奮してきたーー!!」
そう叫んだ爽は興奮している様だった。
*
海とバケダラは999番目の教室に来た。教室に一人の三十代くらいの男がいた。
「来たな」
「よろしくお願いします!」
「俺の名前はゴギ。属性は石だ。お前達の名前は?」
「バケダラです!」
「海」
ゴギは教室に来た二人の自己紹介が終わると、魔法で一本の鉄パイプを作って手に持った。
「早速だがお前らに卒業の条件を教えてやる。それは俺を倒すことだ」
「え……!? 噂では二週間で卒業って聞きましたが違うんですか!?」
「俺の場合はな……だが嫌なら二週間授業に耐えるだけに変えても良い。それに決めても二週間耐えられた者は今までいないが」
「ゴギ先生……噂では魔法学校で一番厳しい言われている先生……最近は優しくなったって聞いたけど……」
「なら……二週間であんたを倒す」
海はゴギにそう宣言した。
「えぇ!?」
「凄い自信だな。とりあえずあれを見ろ」
ゴギは教室にある鏡を右手の人差し指で指差した。
「あの鏡は武器ミラーと言ってな……武器が出て来る魔法が込められている。鏡の前で武器の種類を言えばその武器が出てくるというものだ。ちなみに出てきた武器は全く殺傷能力がない。二人共好きな武器を出してみろ」
ゴギはそう言うと海は武器ミラーの前に立った。
「片手で持てる剣」
武器ミラーから剣が現れ、海はそれを手にした。
「本当だ……!」
「海、かかって来い」
ゴギはそう言うと海はゴギに向かっていった。海が持つ剣とゴギが持つ鉄パイプがぶつかり合った。
*
十数分が経過、ゴギは迫りくる海の攻撃を連続で受けきっている。
「そろそろ終わるか」
ゴギは鉄パイプで海が手にする剣を折った。
(強い……これが上級の先生……海が一撃も当てられなかった……)
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