幕間

 フィルターごしに見える世界は瘴気に満ちている。


 原始的な建造物の中で異星の仲間たちが暮らしていた。


 淀んだ空気の中に置いておくのは気の毒だが、彼らにスーツを着ることできない。


 だが……、と道端で遊ぶ小さな仲間たちに視線を送る。




『この惑星の住人は無邪気に生きている』




 遊ぶ子供達を労るように避けて歩くと、その先には大人たちが寝そべって日向ぼっこをしていた。




『この惑星の住人は怠け者が多い』




 下僕がいるので仕方がないのかもしれない。彼らは働く必要がない。


 彼らだけで進化を遂げるのは難しいかもしれないが、これまで不当な扱いを受けてきたという歴史がある。


 しばらくの間は下僕に世話をさせて、ゆっくりとしてもらおうではないか。


「あいたっ! 失礼しました。このご飯はお気に召さなかったようで。次はもっと良いものを持ってきます」


 仲間が下僕にシャーを放っている。


 彼らのシャーでは無礼な下僕を制裁できないだろう。


 望むのならば我らの文明の利器で抹消してやるが……、と仲間に問いかけてみるが、時に気にしている様子もないようだ。




『この惑星の住人は寛大だ』




 下僕がこちらに向かってやってきた。怪我した手をさすっているが自業自得だろう。


 我に気づいたようで、直立姿勢を取る。


「ハ、ハイルネコー!」


 と手を上げて去っていく。


 下等な生物の行動は理解できない。




「あっ! ローたん。メリーがいるよ。あはいはい。メリーんとこ行くよね。承知仕りました」




『この惑星の住人は支配力がある』




 下僕を従え、満足そうに井戸端する仲間たち。


 地面の上で自由気ままに寛ぐ仲間たち。


 小さくても徒党を組んで堂々と街を闊歩する子供たち。


 小さいが、祖を同じくする仲間たち。




『この惑星の住人はとても愛らしい』




 突然上空から低く響くような音が聞こえた。


 聞き慣れているようでよく聞けば僅かに異なる。


 その僅かな違いはできることなら聞きくなかった音でもある。


 見上げると、離れた地域の上空に巨大な円盤が舞い降りてくるところだった。


 一応、スキャンしてみるがやはり認識不明。


 似ているが、我々の知る船ではない。




『この惑星にも、ついにやってきたか』

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