第14話:高校時代にいた近所のガキンチョ(ホビーアニメ)

高校時代、実家マンションのエントランスにホビーアニメみたいなことを言うガキンチョが、たまにいた。


僕が通ると「おいデュエルしようぜ!」と言ってくる。


「ここを通りたければ俺を倒してからにしな!」だの「私が誰か知りたい? それなら私と勝負だよ!」だの、男女三人組が勝負を挑んできた。コロコロコミックかよ。


勝負の内容は主にカードゲームと、バトルホビーだ。


当時、大流行していたホビーアニメなどは無かったように思う。バトルホビーも僕が小学生くらいの頃が、ビーダマンやベイブレード全盛期といった感じだった。


何に影響を受けたのだろうか。


学校帰りに巻き込まれることもあるから、僕は常にそれらを持ち歩かなくてはならなくなった。抜き打ちで荷物検査などされたら確実に終わるが、僕の通っていた高校ではそういったことはなかったから良かった。


ちなみに、向こうは僕の名前をなぜか知っていたが、僕は向こうの名前を一人も知らない。誰だったんだ、あのチミッコたちは。


小学生の頃から、年下から名前を知られているということが結構あった。珍しい名前だというのもあるのかもしれないが、なんか嫌な噂でも回っているんだろうと気分が悪かったのを覚えている。


ただ、彼らに関してはただ勝負を挑んでくるだけだ。


言い方と因縁の付け方がホビーアニメなだけで、要は「遊んで!」と言ってきただけだった。


断ればよいのだが、内なる少年心がそれを許さなかった。


ノリノリで来られれば、こちらもノリノリで返すのが礼儀だと思っていた。


「いいぜ、格の違いを見せつけてやる」だの「負けたい奴は列に並びな」だの言って、ホビーアニメの悪役またはライバルキャラムーブをかましていた。


ふと思った。


彼らは今、元気だろうか。


年齢はわからないが、小学校中学年くらいだとすれば、もう大人という年齢だろう。


あのときのことを、忘れているだろうか。


それとも、たまに思い出し悶絶する黒歴史になっているだろうか。


なぜだか、そんなことが気にかかった。

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