雨音

詩音

第1話 雨の降る日に

それはザーザーと、雨が降る日の出来事だった。町の中の家は灯一つともすことなく、雨が降るその時を過ごしていた。

その中にただひたすら雨が降る音に耳を傾けながら、本を読む少女がいた。ただ黙々と、本を読んでいた。

その少女の名前は、水神 夏美[みがみ なつみ]。黒髪のロングヘアーで、周りから見ても美人という部類だろう。美しく気高い、まるで薔薇のような高貴な───────

「……ヤベェ…この本名作やん…!」

この一言でお分かりだろう。夏美は美しく、綺麗系の美人だ。外見は。

しかし、あまりにも外見との性格が違いすぎた。一見とてつもなく寡黙で美麗な雰囲気の彼女。

内面は、俗に言うバカである。

学力とかの問題ではない。否、あるかもしれない。

いや、でもそこは一旦置いておくとしても、言動がバカなのである。

例えば今の雨の音に耳を傾けるこれ。本を読むことは小さい頃から好きなのだが、雨の音を聞いている理由は「なんかカッコいいから」である。

他にも似たような事をしたことがある。

クラッシックがカッコいいからと、クラッシックを聞きまくったり、夕日の中、土手に座って本を読んだり。

自分がカッコいいと思う事をひたすら思いつく限りやり、自分がワクワクしたりするものにはひたすらに手を出す。

少々、いや結構、変わっている性格なのである。

そんな夏美は今読んだ本の記録をノートに書いている。これまで読んだ本は必ずノートに感想などをまとめて書いているのだ。

勿論、語彙力が著しく低い感想だが。

「くっそ…本が好きな奴は全員語彙力あると思うなよ…!」

自分の語彙力の低さを謎に言い訳しつつ、感想を書き進めていく。

「いやぁ…今回の本も良かったなぁ!感動の嵐だよ…!皆で拍手喝采だよこの作品は!え、皆って誰だって?やだなぁ!皆だよ☆」

独り言が多いのもいつもの事。

気にしないでください。

あ、どーもどーも!皆さん!夏美です!さっきの謎の第三者的なやつのCVは私なんで!

ずっと私一人だよ☆

え?テンション高いって?

んなこと言われても…通常運転だよ!

というかそれよりも最初の『それはザーザーと、雨が降る日の出来事だった。』のくだり語彙力結構あるよね!?私的には頑張った方!

出来事なんて何も起こらないさ☆HAHA☆


今日は休日だから家にいるけど、いつもは学校に行っているのさ!

バリバリの中学生一年生だよ☆

さて、自己紹介も終わったし謎の第三者に戻りますか!

そういって夏美は窓の外を見つめる。

雨は一向にやむ気配がなく、どんよりとした空気が一層に高まった。

こういう雨もまた好きだと、そういうように夏美は微笑んだ。

明日は、どんな一日が待っているのだろうか


これから始まるお話しは、水神 夏美という、変わっている少女の物語である。










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雨音 詩音 @shirosakamaki

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