第10話

「イッや――っ、スイカちゃん

スゴイねぇ―っ!」

熱海屋旅館の番頭が手放しでスイカを

ほめた。

「スイカちゃんの呼び込みのおかげで

予約が殺到してもうこっちはてんてこ舞い。

本当にうれしい悲鳴なんだよ」

「あのーっ、ボクは?」

村路が情けなさそうな顔で番頭に聴いた。

「ああ、オマケか。まあ、仕方ない

スイカちゃんの頼みだからしばらく

置いてやるよ」

「オッ、おまけ」

村路が顔面蒼白になった。

「シッカし、スイカちゃんただものじゃないねぇ。

なにもの?」

「えへへ」

笑ってごまかすスイカであった。

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