第8話 ♮忘れない♮

約5年過ぎた。何事もなく、不思議なくらいだ。 


 その矢先に、ダブルグランドクロス…ついに始まった。ここでもう防ぐことの出来ない崩壊が…



 俺は後悔はない。この地球🌏で生まれてここで消えていくが、それでも会える人や大切に飼っていたペット達に会える。



※【落ち着いてください。こちらのシェルターにはまだ余裕があります。順に案内いたします】※



 逃げ惑う人々、既にとんでもない磁気嵐、台風、噴火が始まった。火災も相まってとてつもないことになってきた。



※【落ち着いて、落ち着いて、お年寄りや子供もいます】※



警察官の必死の案内にも耳を傾ける人はいない。



俺は、警備員に、


【もう何も出来ないと思います。ご家族の元へ帰って、せめて最後は一緒にいてあげてください】


※【しかし、この混乱では…】※


【では、スピーカー借ります】


※【私のですか?どうぞ】※


俺はスイッチを入れて、最大ボリュームに合わせ、


【みんな、よく聞いてくれ。もう、シェルターも、何もかも意味がない!!みんな大切な人と最後の時を迎えるために、それだけのために時間を使え!!】


※【この人の言うとおりです。せめてその時くらいは大切な人との…】※


届いたのか?少しでも大切な人との時間を…



※【お婆さん、わしは幸せだったぞ。お婆さんには苦労かけたの…】※


※【何いってんですか、私が困っている時に救ってくれたのはお爺さんじゃないですか…覚えてますか?】


※【はて、忘れてしまったの〜でもお婆さんのことは出会った時からこの人と一緒になると決めておったんじゃ】※


※【私もですよ、お爺さん】※


※【何か急に若返ったような感じじゃ】※


※【若いですよ、お爺さんは、フフッ】※



そんな老夫婦もいれば、



※【君と出会ったここで迎える最後の世界…】※


※【あなたと入れて幸せだった。ありがとう】※


※【本当はもっといろいろ見たかった、楽しみたかったね】※


※【じゃ、続きはこの先の世界で…】※



 ふー、なんだよ、人間って綺麗な内に秘めたものもってるんだな。ここにきてようやく、みんなが思い合って、なんだよ…もう。



さっきの警備員、どうしたろうか?



※【最後はお前達といるよ。留守にして悪かった】※


※【もう、お人好し!!でもそういうあなたに惹かれたの。ねっ、そうでしょ】※


※【お父さんダイースキ!!抱っこ〜】※



無事家族と同じ時に過ごせたんだな。


俺も家族と愛する人と集まっている。


こんなに集まるのは久しぶりだ。


滅多に合うことなんてないのに…


何故だろう?こんな世界なのに不思議と穏やかだ。



……………………………………………………………



数千年の月日が流れた…


太陽と惑星はもう存在しない。


人の記憶がどこかの星に届いたのだろうか?


それとも地球🌏の存在が届いただろうか?


今となっては知る由もない。



確かなのは、ここにたくさんの優しさが最後に


恒星のような輝きを放ったということだ。



何処かの星で生まれ変わっているかも知れない。




ご愛読、本当にありがとうございました。

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