第24話 火憐とのデート

 まぁ…色々あったけれど、俺達は無事に水族館に着いた。火憐には無難過ぎると言われると思ったのだが、実際には違った。

「私、水族館に行ったことがなかったから、響也と一緒に行けて嬉しいよ!! 」と言ってくれた。


 さすがの俺でも、葉月が小さい時に一緒に行ったことがあったので火憐の発言には驚いた。でも、俺との水族館デートを楽しみにしているのを見ると俺も嬉しい気分になった。


 俺が悩んでいたのがバカみたいだ。

「よし…」俺はそう言いながら気合を入れる。今日は俺と火憐とのデートだ。精一杯楽しもう。――後悔のないように。




 ◇




 とりあえず俺たちは入場料を払い中に入ることにした。入ることにしたんだが、入る同時に火憐が俺の腕に抱きついてきた。


「今日は私の事を響也に預けるから。ちゃんとエスコートしてね? 」


「…わかったよ」


 俺はそう答えることしか出来なかった。だって、今俺の腕には火憐の豊満な胸が当たっているんだ。今までもそういうことはあったけれど、デートとなれば別だ。変に意識してしまう。


 それに、変なやつらに絡まれて気が付かなかったが、今日の火憐の服装は大人びていて、いつもの何倍もの色気を纏っている。顔には少し幼さを残しているのにだ。


 腕に抱きついているということは、必然的に顔も近くなるわけで、火憐の可愛い顔が俺をじっと見つめている。


「どうしたの? 早く行こうよ!! 」


 クソッ……可愛すぎる。火憐の表情から楽しみにしているのが見て取れる。それに、俺の顔がどんどん熱くなっていくのを感じる。火憐もそれに気づいたのか悪戯な笑みを浮かべて言った。


「ふーん…響也…こうやって抱きつかれるのが好きなんだ。顔も赤くしちゃってさ」


「……」


 俺はぐうの音も出なかった。だって、そのとおりなんだもん。火憐の胸の感触が気持ちいいとかそういうのではなく、火憐から感じる温かさがとても気持ちいい。安心するそんな温かさだ。


 火憐は俺が何も言わなかったからか、俺よりも顔を赤くしている。自分でも恥ずかしいなら言わなければいいのに…。俺はそう思ったのだが、口には出さなかった。


「もういいから…早く行こう!! 」


 火憐はそう言うと俺に抱きつくのをやめて、俺の手を握り、引っ張って行った。


 それから俺は火憐に連れられて2時間ほど、水族館を見て回った。本来なら俺がエスコートするはずだったのに、火憐がしているということは黙っておこう。火憐は楽しみすぎて気づいてないみたいだしな。


 2時間も連れ回されたこともあり、既に午後1時を過ぎている。火憐の楽しんでいる姿を見ていると、昼食にしようなんてなかなか言えず、ここまで来てしまった。


「ごめんね…はしゃいじゃって。お腹空いたよね? 」


「それは気にするな。火憐は初めての水族館だったんだろ? だったら楽しんでなんぼだろ」


「やっぱり…響也は優しいね。でも、さすがに私もお腹空いできたからなにか食べよう? 」


「ああ、そうだな」


 そして、俺達は水族館内にあるちょっとしたフードコートへと向かった。

 ここでは水族館にいる魚などのコラボメニューが楽しめるらしい。こういうコラボメニューには今まで触れてきたことがないのでとても新鮮だ。


 それは火憐も同じらしい。メニューを目を輝かせながら見ている。今日の服装は大人びているのに、反応は子どものままでなんだか安心した。


 俺は特にコラボメニューが食べたかったわけではないのでシーフードパスタを頼んだ。火憐は昼食だというのにコウテイペンギンパフェを頼んでいる。コウテイペンギンという名前だけあってとても量がある。火憐にこんな量の物食べられるのか? と思うが、多分大丈夫だろう。


 今の俺はとても幸せだ。こうして火憐とデートをできているのもそうだし、碧や零と仲良くなれたのもそう。俺は人生最高の幸せを味わっている。


 それに、今日のデートはまだ終わっていない。ここからが本番だ…。午前中は火憐に連れ回されていたが、本来ならばそれは俺の役目だ。


 そうして、俺達は昼食を食べ終えた。というかすごいな…。あんなに量のあったパフェを食べきるなんて。俺だったら胃もたれしているはずなのに…。

 

 その養分はどこに行ってることやら。まぁ、察しはつくよね…。そうだね胸だよね。こんなに食べるんならあの豊満な胸も納得だ。


「なんか変なこと考えてるでしょ? 」


 俺の顔を覗きながら火憐が言う。どうやらバレてしまったらしい。俺が何も言わないので肯定と捉えた火憐は頰をぷくーっと膨らませている。可愛い…可愛すぎる。


 このままじゃ埒が明かないので、俺達は再び水族館の中を回ることにした。

 ちゃんと俺のエスコートでね。






 ―――あとがき―――

 どうもにんじんさんです。

 4700PV突破ありがとうございます。

 最近とても眠いんですよね。今日も執筆中に寝てしまい予定していた時刻よりも投稿が遅れてしまいました。なんかあとがきでずっと遅れた報告している気がするけど、気の所為ですよね。

 今後も頑張りますのでもし面白いと感じたらフォローや☆、感想を書いてくれるとモチベに繋がります。

 至らぬ点などがありましたら、その報告もしてくれるとありがたいです。








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