第21話 修羅場PART2
とりあえず放課後を迎えたのだが、どうしようか? いつも通り放課後は残ることにしているのだが、今日は零が来るらしい。
俺は別にお礼が欲しくて助けたわけじゃないんだけれど、だからといってお礼を受け取らないのも違う。
というか待てよ…。碧は俺と同じで教室に残っている。俺は零に教室で待っててと言われたので、教室にいるのだが、これ2人出会っちゃうよね? やばい…昼休みの二の舞いになる気がしてきた。
碧なら大丈夫…だよね? 俺はそう思いたい。というかそうじゃないとやばいから大丈夫であってほしい。
そう思いながら零を持っていると、俺の携帯に通知が来た。
誰からだろう? と思って確認すると相手は火憐のようだ。
『響也、今日一緒に帰ろう』
俺はその一文にゾッとした。どうしてこうもやばいことばかり重なるのだろうか? 俺が美少女たちに出会ってしまった罰なのか? そうだとしてもおかしい。
今から、火憐の誘いを断らなければならないと思うと胃が痛い。それに零が関わってくることだから余計に痛くなる。
『すまん。今日は予定があるから一緒には帰れない』
胃を痛くしながらも、しっかりと断りの文を打つことはできた。後は、火憐が引き下がってくれるのを待つだけだ。
『どうせ、あの零とかいう女でしょ。私も鬼じゃないから今日のところは許してあげるけど、今度私とデートしてよね。じゃないと許さないから』
昼休みに話したということもあってバレてるみたいだけど、この文面を見てもわかる絶対に怒っているパターンだ。
それにデーとか…。やったことはないけれど、やるからには精一杯頑張らないとな。男してしっかりリードしてあげよう。
それよりも、まずは目先のことからどうにかしないといけない。どうにかすると言っても零が来てくれないとどうにもならないから早く来てほしいのだが、今のところ来る気配が全くと言っていいほどない。
困り果ててるうちに教室はもう静かになっていた。静かになったということは俺と碧以外教室には誰もいないということだ。誰もいないのをいいことに碧はこちらにやってきたのだが、なんともまあ、間の悪いことだろうか?
まるで、碧が俺の方に来るのを待っていたかのように零がやってきた。
そして目が合う2人。何かを感じ取ったのだろう碧が零を睨んでいる。
碧なら大丈夫だと思っていたが、現実はそうはいかないらしい。
「あら、水島さん私になにかようかしら? 」
これは絶対わかっているはずなのに、あくまでも自分に用があることにしたいらしい。
「別に…あなたに用はない…用があるのは…響也だけ…」
「へぇ〜響也ねぇ」
火憐もそうだったのだが、なぜこうもニコニコしながら怒りを露わにできるのだろうか? とてつもなく怖い。
「私は…響也に助けてもらった…だから…お礼がしたい…」
「なるほどね。それだったらいいわ」
え…? さっきまでとは違い優しそうな声で言う碧を見て、俺は不思議に思ってしまった。
そんな不思議そうな顔をしている俺を見て碧は言った。
「前にも言ったでしょ? 私は村雨くんに助けてもらったことがあるって。水島さんも村雨くんに助けてもらったみたいだし、私がどうこう言うわけにもいかないわ。けどね、村雨くん…あまり女の子を増やしすぎるのは良くないと思うわよ」
「別に…俺だって増やしたくて増やしてるわけじゃないよ」
「ふふふ…わかっているわ。今回のことは私からの貸しってことにしとくから、いつかちゃんと返してね。それじゃあ、2人で楽しんでね」
碧はそう言うと、俺と零をおいて教室から出ていった。
「これで…2人きりになれた…私からのお礼…受け取ってくれる…?」
「受けとるけどさ。お礼って何をするんだ? 」
「それは…あとでの…お楽しみ…。それじゃあ…早速…行こう…」
そうして、俺は答える暇もなく零に手を引かれていくのだった。
◇
「着いたよ…」
そう言われて着いた場所は人生で一度見るか見ないかの大豪邸だった。俺が驚いてるのに気がついたのか零はあいも変わらず無表情で言う。
「ここは…私の家…」
そう言われた俺は余計に驚いてしまった。確かに俺の通っている霧宮学園は名門と呼ばれるぐらい有名であり、お嬢様がいてもなんらおかしくはないのだが、それでも俺は驚いてしまった。
というか、驚かない方がおかしいくらいだ。こんな大豪邸に連れられて俺はお礼をされるらしい。
どんなお礼がされるのだろうか? 俺はワクワクとちょっとの不安を抱え、大豪邸に足を踏み入れた。
―――あとがき―――
どうもにんじんさんです。
最近あとがきにも書くことが無くなってきました。やめればいいと思うかもしれませんが、私はやめませんよ。
次回からはお礼回です。零ちゃんはどんなお礼をしてくれるのでしょうか? 皆さんも楽しみに待っていてください。
今後も頑張りますのでもし面白いと感じたらフォローや☆、感想を書いてくれるとモチベに繋がります。
至らぬ点などがありましたら、その報告もしてくれるとありがたいです。
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