第20話 修羅場?
いや…本当にどうしたものか? 火憐が来たことは別にいいのだが、問題はこの2人が出会ってしまったことだろう。
それに、屋上のベンチはそこまで大きくないので火憐が来たことでぎゅうぎゅうになってしまった。
俺が退けばいい話と思うかもしれないがそうはいかないらしい。
火憐に腕をがっちりホールドされている。多分というか絶対に見せつけている。それに火憐の豊満な胸が腕に当たっている。他の人からしたら至福のひとときと想うかもしれないが、今の俺は違う。
修羅場といっても良い状況に巻き込まれている。そんな状況にしびれを切らしたのか、火憐が口を開いて言った。
「ねぇ…響也。今更だけどさ、これってどういう状況なの? 説明してくれる? 」
火憐は顔は笑顔なんだが、声色は完全に怒っているときのそれだ。誤魔化そうものなら大変なことになりそうなので、事の成り行きをしっかりと話すことにした。
「……というわけなんだ。やましいことなんて何一つないんだよ」
「ふーん…そうなんだ。まぁ、私の早とちりだったってことなのはわかったけどさ、その子さっきから私みたいに響也の腕に抱きついているみたいだけどそれはどう説明するの? 」
1つ解決したらまた1つ問題がやってくる。まぁ、腕に抱きつかれること自体は嬉しいからありがたいのだけれど、さっきまで笑顔だった火憐をどんどん怖い顔にするのはやめて欲しいな。
「別に…響也は…あなたのものじゃないから…私が腕に抱きついてもいい…」
「は? あんた何言ってんの? 自分の言ったこと理解してるの? たった2回助けてもらっただけでチョロい女ね」
「負け惜しみ…」
「あんた私が負けたって言いたいの? 」
「そう言ってる…」
「どっからどう見ても私の方が勝ってるでしょ? 私は響也の幼馴染だし、それにあんたよりも胸があって可愛い。ほら、私のどこにあんたに負けてるところがあるのよ? 」
やばい…本格的な喧嘩が始まろうとしている。止めないといけないというのはわかっているけれど、本当に止めていいのだろうか? 確かに、何もせず静観するのは悪い事だとはわかる。しかし、俺が止めに入ったところで2人の喧嘩はおわるのだろかか?
わからない。けれど、この喧嘩を起こしたのは俺だ。だったら止める以外にないだろう。それに昼休みも終わりそうだ。
「2人とも、喧嘩はそこまでにしといた方がいいと思うよ。もうじき、昼休みも終わるだろうし」
「チッ…響也が言うなら仕方ないね」
え? 今、舌打ちしたよね? 火憐ってこんな感じだったっけ?
「わかった…響也が言うなら仕方ない…」
その瞬間、火憐の顔が鬼のようになった。
「あんた今、響也って言った? 」
「言った…」
「あんたふざけているの? 響也を響也って呼んでいいのは私だけなの」
「そんな…ルールない…」
本当にそうだよ。俺だってそんなルールあるの初めて聞いたよ。というか、また喧嘩始まりそうだよ。
「だから、2人とも喧嘩は止めようっていってるだろ? 」
「ありがとう響也。響也のことになるとちょっと歯止めが効かなくなるのよね。それにあんた今日のところは許してあげる。次は無いから」
「あなたこそ…次は無い…」
「あっそ。それじゃあ響也、私先に帰ってるから。またね」
「ああ、また」
俺の言葉を聞いて火憐は屋上を後にした。
「俺達もそろそろ帰ろうか」
「うん…そうする…。そうだ…私のことも…零って呼んで…」
「え…? 」
「アイツだけずるい…私も呼ばれたい…ダメ…?」
零はこちらを無表情な顔で覗き込んでくる。こういう時って目をうるうるさせるもんじゃないのかと思うのだが、零はそれが出来ないのだろう。
「わかったよ…零ってよばせてもらうよ。それじゃあ帰るぞ」
「ちょっと…待って…放課後空いてる…? 」
「多分、大丈夫だと思うよ」
「わかった…放課後…お礼しにクラスに行くから…待ってて…」
「お、おう」
そう言った俺たちは屋上を後にしそれぞれの教室へと戻っていった。
そういえば、何か忘れている気がするのだが、なんだったっけ? あーそうそう、確か昼食だ。ん…? 昼食? そうじゃん俺昼食食べてないじゃん。
まぁ、いいか。休み時間に食べるとしよう。
そうして俺は休み時間に昼食を食べたりしながら、放課後を迎えるだった。
―――あとがき―――
どうもにんじんさんです。
前回2400PVの感謝をしたんですけど今回は3500PVの感謝をします。多くの方々に見ていただけたようで嬉しい限りです。
それと投稿遅くなってすみません。作業中に寝てました。最近眠たくて眠たくてしょうがないんですよね。それでも何とか投稿できるように頑張ります。
今後も頑張りますのでもし面白いと感じたらフォローや☆、感想を書いてくれるとモチベに繋がります。
至らぬ点などがありましたら、その報告もしてくれるとありがたいです
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