第19話 銀髪少女とまた出会う

 中間テストが終わってから3日がたった。

 

 そして今日、廊下に中間テストの結果が貼られるらしい。俺は今か今かと教室でテストの結果が貼られるのを待っている。

 

 自信があるかと言われれば、全くないというわけでは無いが、碧と火憐の2人にはまだ遠く及ばないだろう。

 

 でも、俺はやれることはやった。霧宮学園に受かるためにやってきた努力と同じくらいとは言わないが、2人のおかげということもあって、俺はとても頑張れた。ほんとうに感謝しかない。


 やばい…今になってめっちゃ緊張してきた。下手したら合格発表の時よりも緊張しているかもしれない。


 俺が緊張している間にテストの成績は貼られたらしい。クラスの連中がこぞって教室から出ていく。

 本来の俺であれば、騒がしいのは嫌いなのでこういうのは避けて最後に見るのだが、今回はそうもいかなかった。


 気になって気になってどうしようもなかった。気がついた時にはもう遅かった。俺はクラスの連中から少し遅れて見に行った。



〈中間テスト成績順位〉


 1位 水島零 500点

 2位 夕凪碧 492点

 3位 宮野火憐 490点

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 9位 村雨響也 463点

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 結果としては9位という成績を残すことができたのだが、これで納得できるわけが無い。2人は2位、3位を取っていて俺は9位だ。

 2人に教えて貰ったのに不甲斐ない結果となってしまった。


 しかし、この中間テストを通して自分の弱点がわかった。次は7月にある期末テストだ。そこに向けてしっかりと頑張ろう。――2人につり合う男になれるように。


 そう思っているのだが、やたら周りが騒がしい。なにかあったのだろうか? 俺は聞き耳を立ててみることにした。


『水島さんすごいね〜! 』『1位なんてすごいじゃん! 』


 なるほど…1位の水島零って子がもてはやされてるみたいだな。名前からして女の子なのだろうか? 気になってきてしまった。


 自分の柄じゃないのはわかっているけれど気になったのだからしょうがない。水島零とやらの姿を一目見ようと思い人の波を掻い潜り、見てみた。


 銀色の肩までの長さの髪。銀河のような瞳。色白な肌。身長は小学生と見間違えるほど小さく、それに比例して胸も小さい。


 なんか見覚えのある特徴だね。そうだね…テストの最終日に階段でぶつかったあの子だね。


 彼女は俺に気づいたのか、俺に助けを求めるように近づき、俺の裾を握ってきた。


 どうして俺のところに来たんだ? 助けを求めるなら他の人でもいいはずなのに。それに、周りの人達の目が俺の方に向いている。初めて浴びる周りからの視線に俺はちょっとというか結構ビビっている。

 こうなったら逃げよう。別に1人で逃げようってわけじゃない。彼女も助けを求めいるんだ。


 そうして、俺は彼女の手を引きこの場から急いで逃げるのだった。


 昼休みといえばのあの場所。俺と火憐が久しぶりに再会した場所でもあるあの屋上だ。


 今のところは誰もついてきていない。彼女も俺も息を切らしながら屋上にあるベンチに座った。


 そういえば、いつもいるはずの火憐が今日はいないな。火憐もテストの成績を見ているのかもしれない。


「また…助けてもらった…ありがとう…」 


 彼女こと水島零はやはり表情が変わっていないのだけれど、恥ずかしいのか色白の肌が赤くなっているのも変わらない。


「そんな感謝されるようなことをしたわけじゃないよ」


「それでも…嬉しかった…。やっぱり…お礼したい…」


 うーん…どうしたものか? 前は彼女が急いでいたみたいだったし、お礼のことは何も言わなかったのだけれど、別に俺はお礼がしてほしいわけではないんだよなぁ…。


 でも、彼女の気持ちを無碍にするのも違う気がする。


「わかったよ。お礼はちゃんと受け取る。そういえば、自己紹介がまだだったよね。俺の名前は村雨響也」


「私は…水島零みずしまれい…」  

 

 うん…知ってた。囲まれてるときに聞いてたから知ってはいた。


「響也は…いつもここにいるの…? 」


 おっと? いきなり呼び捨てにされたな。しかも苗字でなく名前だ。


「あぁ、そうだね。俺はよくここで昼食を食べるよ」


「わかった…私も…ここで食べる…」


 いやいやいや待ってほしい。俺はすでに火憐とここで一緒に食べる約束をしてしまっている。流石に3人はきついんじゃないか? このベンチは3人も座れそうにない。


 というか彼女をここに連れてきたのが咄嗟のことだったので、俺は昼食を持ってきていないことに気づいた。やばいね昼食どうしようか?


 そんなことを思っていると屋上のドアが開いた。そして俺は瞬時に理解する――この状況はまずいのではないのかということに。


 水島零と宮野火憐2人の関係は知らないけれど、修羅場になりそうな気がする。


 逃げることは許されない。元はと言えば俺のせいなのだから真摯に向き合おう。


 そう決意した俺は、火憐が入ってくるのをただただ待っていた。






 ―――あとがき―――

 どうもにんじんさんです。

 2400PV感謝です。次で20話らしいですね。思ったよりも早く書けてるのはいいことだけれどもね、全くと言っていいほどプロット通りに進みません。ほんとやりたいことが多すぎるのよね。

 それでも読んでくださる方には感謝しかないですね。

 今後も頑張りますのでもし面白いと感じたらフォローや☆、感想を書いてくれるとモチベに繋がります。

 至らぬ点などがありましたら、その報告もしてくれるとありがたいです



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