第18話 中間テストとはじめまして

 勉強会を終えてから何事もなく1週間が過ぎた。2人のおかげで今回の中間テストはなんとかなりそうだ。

 2人には感謝しかない。こんな俺の友達になってくれたこと。それに――俺のことを慕ってくれていること。

 未だに俺はそのことを信じられないが、これは夢ではない。


 そんなことを考えているとテストの開始を告げるチャイムとともに教師の「開始」という声が教室に響いた。




 ◇




「ふぅ…やっと終わったぁ」


 2日間と長いようで短いテスト期間が終わった。クラスメイトたちもテストが終わったことに安堵しているようだ。

 それにテストの打ち上げの話も出ている。俺には全く関係のない話だけれど、聞こえてくるのだからしょうがない。


 テスト終わりということもあり午前中で帰宅することになってはいるのだが、俺は相も変わらず、皆がいなくなるまで教室にいる。

 いつもなら碧も一緒にいてくれるのだか今日は違うらしい。

 そりゃそうだ。碧は俺と違い友達が多く、それぞれにちゃんと付き合わないといけないんだ。

 

 だから、俺達はいつもいれるわけじゃない。そんなことはわかっていた。わかっていたはずなのに…。

 ダメだ…これ以上考えても埒が明かない。


 気がつけばもう、教室には誰一人としていなくなっていた。

 変なことを考えてしまっていたし、帰るのには良い時間だったので、俺は教室を出ることにした。


 さっきまでは碧のことばかり考えていたけど、火憐の方はどうなんだろうか?

 碧のことは同じクラスだからわかるけれど、火憐とは違うクラスなので火憐がクラスでどんな感じなのかわからない。


 それに、何かあるんだったら連絡が来るはずだ。それすら来ないってことは火憐も同じクラスの連中と打ち上げをしているのではないだろうか?

 うーん…わからない。


 そんなことを考えて階段を降りているときだった。俺は急いでいるであろう人物と階段でぶつかってしまった。


「危ない! 」


 このままでは相手に怪我をしてしまうと思った俺はとっさの判断でぶつかってきた人物の腕をとり、抱きしめた。


 いきなりの出来事で相手のことをよく見ていなかったということもあり、今見てみようとするのだが、とてもいい匂いがする。安心するようないい匂いだ。


 俺がそんな匂いにうつつを抜かしていると、ぶつかってきた人物が喋り始めた。


「もう…大丈夫だから…離して…いいよ」


 その声はどう考えても女の子の声であったのだが、声だけで判断するのは良くない。


「ご、ごめん! 」


 そう言われたので俺は離すことにしたのだが、俺はそこで初めて知ることになった。――俺が抱きしめた人物が紛れもない女の子であることに。


「助けてくれて…ありがとう…」


 咄嗟のことだったのでわからなかったけれど、彼女は碧や火憐にも負けず劣らず可愛い。銀色の肩までの長さの髪。銀河のような瞳。色白な肌。身長は小学生と見間違えるほど小さく、それに比例して胸も小さい。

 しかも、上履きを見るに俺達と同じ1年生らしい。


 身長だけ見れば、小学生と何ら変わりない。制服と上履きがなければ俺は高校生だと気付けなかっただろう。


 そんな子を抱きしめたんだ。俺も彼女も恥ずかしいはずなのに彼女の表情は何一つ変わっていないのだが、色白の肌のせいか顔は赤く染まっている。


 流石に彼女も恥ずかしかったみたいだな。そういえば彼女は急いでいるみたいだったけどそれは大丈夫なのだろうか? 


「急いでいるみたいだったけど大丈夫なの? 」


 俺がそう問いかけると、彼女はあいも変わらず、変わらない表情で言った。


「大丈夫じゃない…早くいかないといけない…」


「だったら早くいったほうがいいよ」


「わかった…また…会えると思うから…お礼はそのときで…」


 そう言うと彼女は階段を急いでのぼっていった。

 よくわからない子だったし喋り方も独特だったけど、また可愛い子と出会ってしまったな。


 ここ最近はよく可愛い子に出会うけれど、これは運がいいと捉えていいのだろうか? それはわからないけれど役得なのには変わらない。


 俺はそう思いながら、家への帰路へとつくのだった。





 ―――あとがき―――

 どうもにんじんさんです。

 普通に遅れました。すみません。改稿とか某スターレイルとかやっていたら土曜日じゃなくなってました。ほんとにゲームは危険ですね。

 あと、文字数も少なくなってすみません。

 今後も頑張りますのでもし面白いと感じたらフォローや☆、感想を書いてくれるとモチベに繋がります。

 至らぬ点などがありましたら、その報告もしてくれるとありがたいです



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