第15話 謝罪と2人の思惑

  葉月に謝るとは言ったものの何と謝ればいいのだろうか? やっぱりお前が好きだなて言えばいいのだろうか? さっぱりわからん。

 悩んでいても仕方ないか。誠意を込めて謝れば許してくれるはずだ。


 そうして俺は葉月の部屋に向かった。


 ふぅ…と息を吐いた。葉月と姉さんは俺の部屋に入る時はノックをしないが俺は違う。俺はしっかりとノックをした。


「入るぞー」


 と言って俺は部屋に入った。葉月はベッドに突っ伏している。さて、ここが正念場だ。お兄ちゃんとしてしっかり謝らないとな。


 俺はそのまま突っ伏している葉月に近づいた。


「俺が悪かったよ。許してくれ葉月」


「……」


 とりあえず謝ってみたが返事はない。ほんとにどうしたらいいんだろうと思っていた時だった。


「今日も一緒に寝てくれたら許す……」


 今、一緒に寝てくれたら許すって言ったのか? 俺の聞き間違いじゃなかったらそう言っていた。

 確かに許してもらいたい気持ちはあるけど今日も一緒に寝るのはちょっとね。


「一緒に寝てくれないの…? 」


 葉月は上目遣いで目をうるうるとさせながらこっちを見てきた。これが可愛くないわけがないだろ。そんなことされたら一緒に寝てもいいかなって気持ちになるが落ち着け。


 相手は自分の妹なんだぞ。妹といえど相手は思春期真っ盛りの女の子だ。2日連続一緒に寝るのはまずい。


「ダメ…? 」


 さらに目をうるうるさせてこちらを見てきた。これはもう諦めるしかないな。お兄ちゃんの負けだよ。


「わかったよ…」


「うん! 」


 そうして俺は2日連続葉月と一緒に寝ることになってしまった。寝ること自体はいいんだよ。温かくて気持ちいいし、ただ妹っていうのがいけないんだよな。

 しかし、決まったものはしょうがない。


 そうして俺は葉月と一緒に寝た。



 ―――――――



 そして時は少し遡り、村雨響也が携帯をそっと閉じたあとのこと。


 ※夕凪碧視点


 私は今、どんな顔をしているのかしら? 多分人には見せられない顔をしている。それぐらいのことは私でもわかる。

 それもそのはず、なんたって私の王子様の家に行けることになったのだから。

 昨日は連絡先を交換したことが嬉しすぎてメッセージを送ることができなかったし、こうしてやりとりができているのが嘘みたいね。


 油断したらニヤけが止まらなくなってしまいそうね。冷静にならなくちゃ…まだ家に行ってもいないのに悶えてたら、家に行った時が危なくなってしまう。


 しかし、せっかく2人きりでできると思ったのだけれど邪魔が入ったわね。

 宮野火憐といったかしら? 村雨くんに幼馴染がいるなんて知らなかったわ。


 まぁ、幼馴染がいようが関係ないけれどもね。私でもわかるわ。彼女は絶対に村雨くんに恋をしている。


 でも、村雨くんは9年ぶりに会ったと言っていたし、最近の村雨くんのことは知らないでしょうね。

 私は彼のことはこれでも何でも知っているつもりよ。昔の女と今の女どっちが強いのか分からせてあげなくちゃね。


 勉強会そこで私の恐ろしさを見せてあげるわ宮野火憐。覚悟していなさい。


 それにしても、土曜日が楽しみだわ。最近多くの友達が出来て出かける機会も多かったし、服には自信があるけれど、それじゃあダメよね。


 自信があるだけじゃあダメ。そうと決まれば買いに行かなければならないわね。


 フフフ…本当に楽しみだわ。待っててね私の



 ※宮野火憐視点


 私は今、携帯に送られた文をじっと眺めている。文を見るだけで響也の声が聞こえてくる。

 やっぱり響也は私の運命の人。だって、私がこっちに帰ってきて、入学した学校の屋上で出会うなんてそんなのもう運命でしかない。


 しかも、土曜日には響也の家に行ける。小さい頃はよく一緒にいたけれど、家まで行くことはなかっただけに楽しみ。


 でも、困ったことになった。あの夕凪碧とかいう女も一緒に来るらしい。


 確かにあの子もかわいいし、スタイルも抜群なのはわかる。


 けど、残念。私も顔には自信もあるし、なんと言っても胸の大きさならあんなやつには負けない。


 やはり、男を惹きつけるのは胸よね。けれどね、響也は違うの。他の男たちみたいに私の胸を見なかった。

 友達になった今なら見ないのもわかるけど最初屋上で会ったときから響也は私の目を見て話してくれてた。


 それだけでもう、他の男たちとは違う。たまらない。私は響也のことが好きで、好きでたまらない。


 あの泥棒猫なんかには絶対に渡さない。

 響也は私の。私は響也の


 あぁ、待ち遠しい。早く土曜日になってほしい。




 ◇


 それぞれの思惑を胸に、勉強会が幕を開けようとしていた。






 ―――あとがき―――

 どうもにんじんさんです。

 間違って15話を消してしまったので、もう一度書き直しました。

 それと1800PVを突破しました。ありがとうございます。

 なんか前回、次が勉強会と言っていましたがあれは嘘です。でも、安心してください次回はちゃんと勉強会します。これはもう絶対です。

 今後も頑張りますのでもし面白いと感じたらフォローや☆、感想を書いてくれるとモチベに繋がります。

 至らぬ点などがありましたら、その報告もしてくれるとありがたいです

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