第13話 2人と帰り道
夕凪碧、宮野火憐その2人の紹介を終えたのはいいが空気がやばい。バチバチに睨み合ってる。元はと言えば俺が原因なのだが、これ以上長引くと帰る時間が遅くなってしまう。
「2人とも…そろそろ睨み合うのをやめて帰らないか? 」
「ええ…そうね。村雨くん」
「チッ…響也が言うなら仕方ないね」
俺無事に帰れるのかな? そんな不安を抱えつつ俺達は学校を後にするのだった。
2人とも家は案外近いらしく、家に着く結構ギリギリまで一緒らしい。それにしても、2人とも一言も喋らないんだが。ここは俺が原因なんだから、なんか話を振った方が良いってのはわかる。
しかし何の話をすればいいんだ?
知っての通りつい最近まで俺には友達がいなかった。友達と一緒に帰る時の会話なんて何も知らない。共通の話題があればいいかもしれないが、2人のことはあまり知らない。
火憐は幼馴染といえど、さっき思い出したばかりだ。それに、9年間も離れていたら趣味嗜好だって変わっているはずだ。
さすがに何も話さないまま終わるのはまずい。そういえば、もうすぐ高校生活初めての中間テストがある。それを話題にすればいいのでは? 我ながらいい考えが思い浮かんだものだ。
「そういえばさ…2人とも中間テストは大丈夫なの? 」
「普段から勉強するようにはしているから大丈夫よ」
「うーん…私も大丈夫かな。響也はどうなの? 」
「ま…まぁ、それなりに…」
やばいな。質問を考えたのは俺なんだが、最近色々ありすぎて勉強できてないんだよな。
それに、俺は元々頭が良いわけではない。死ぬ思いで努力して、名門と呼ばれる霧宮学園に受かったのだ。
「大丈夫そうには見えないね。だったらさ、響也勉強会でもする? 」
「ふふふ…それはいい考えね。そうね…私と2人きりで勉強会したほうがいいわよね」
「は? 何言ってんの? 響也は私と2人きりで勉強会するんだけど? 」
勉強会をすることは俺も賛成だ。だが、おかしい。なぜ2人きりでやる必要があるんだ? というか2人きりだと余計に集中できない気がする。
「なぁ…2人きりじゃないとダメなのか? 」
「「当たり前でしょ! 」」
こういうところは息が合うんだな。本当は仲がいいんじゃないかと思ったが、それは言わないでおこう。
「いや…でもさ、2人きりだとさすがに恥ずかしいというか…なんというか…」
「そうね…。それには同意するわ。」
「確かにそれは私も恥ずかしいかも。それに2人きりだと夕凪さんが何するかわかったもんじゃないし」
「はぁ? それはあなたもでしょ?」
ダメだこりゃ。あー言えばこー言う。典型的な仲良くなれないパターンの人達だ。2人は勉強にそれなりの自信があるみたいだし、みんなでやれば良いと思うのだがな。
そんなことを考えていると、碧が諦めたような顔で言った。
「もういいわ…この際だし私達3人で勉強会しましょう。」
「そうだね。ここで争ってても意味無いもんね」
これは嬉しい誤算だ。まさか碧の方から3人での勉強会を提案してくるとは。それに火憐も乗り気のようだし、意外なところでこの2人は結託したな。
3人でやるんだったら断る理由はないだろう。
「3人でやるなら俺もいいよ」
そうして俺達3人での勉強会が決まった。とりあえず、2人きりで勉強会をすることにならなかったので、俺としてはもうなんも言うことは無い。
そうこうしていると別れの時間は近づいてくる。どうやら2人は同じ道らしいのだが、俺は違う道らしいので分かれ道で別れることになった。
「それじゃあね村雨くん。勉強会についてはまた後で連絡するわ」
「響也またね! 私も連絡するからね」
「あぁ…わかった。2人とも気をつけて帰ってね。それじゃあまたね」
そうして俺達は別れた。当初はどうなることかと思ったけれど、思っていたよりも仲良くなっていたようで良かった。
それに、たまにはこういうのも悪くない。今まで、友達がいなかった分余計に良く感じる。
短いようで長かった帰り道。気がつけばもう、家に着いていた。
「ただいま」
俺は笑顔でそう言った。なぜなら、友達のいる今後の生活を思い描いていたからだ。1度は諦めかけた青春。けど今は違う。
俺は今後が楽しみで仕方なかった。
―――あとがき―――
どうもにんじんさんです。
なんか最終回みたいになってますがまだまだ続きますよ。
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