第8話 妹絶対時間①

 家に帰った俺はいきなり妹の村雨葉月むらさめはづきに目をつけられてしまった。


「お兄ちゃん早く帰ってくるって言ったのは嘘だったの? 」


「悪かったよ…ちょっと用事があってな」


「ふーん…」


 葉月は俺を疑いの目で見てくる。


「お兄ちゃんだって悪気があったわけじゃないんだよ。ただ…」


「ただ…何? 」


 もう言い逃れはできないだろう。こうなったら本当の事を言うしかない。俺は覚悟を決めて言った。


「女の子と話してた…」


 すると葉月は驚いた顔でこちらを見てくる。


「う…嘘でしょ」


 葉月は呆気にとられたような顔をして何やらブツブツ言っている。


「このままじゃ…盗られちゃう…」


 ブツブツ言っていたのでよく聞き取れなかったが盗られちゃうってどういうことだ…? しかもなんか嫌な予感がする。


 葉月は意を決したような顔をして言う。


「お兄ちゃん今日はなんでも言うこと聞いてくれるんだよね。だったら、今日は私から離れないで! 」


 今日の朝何でも言う事を聞くと言った手前俺は抵抗することが出来ない。もう、こうなったらとことん付き合ってやろう。葉月の気が済むまでな。そう思った俺は「わかったよ…」と答えるしかなかった。


 とりあえず荷物を置くために自分の部屋へ向かおうとするのだが、早速葉月に阻まれる。――あろうことか葉月は俺に抱きついてきたのだ。

 

 俺は背中に柔らかな感触を感じる。葉月は中学2年生にしてはナニがとは言わないが。多分、あの夕凪碧ゆうなぎあおいに匹敵するぐらいはある。


 そんな凶器ともいえるものが今、俺の背中にあたっているのだ。世の中の男子なら憧れるシチュエーションなのは間違いないが、ただ思い出してほしい今、俺に抱きついているのは妹である。――そう、兄が妹に欲情するなどあってはならないことなのだ。


 約束した通り離してはくれないだろう。もう、今日はこのままやりきるしかない。今日の俺は一般人から賢者にジョブチェンジするしかないのだ。とりあえず俺は葉月に抱かれたまま自分の部屋へと向かうことにした。


 部屋に荷物を置いた俺は葉月にかまってあげることにした。たまには兄妹のコミュニケーションも悪くないだろ…。まぁ…それにしては少し接触し過ぎな気もしなくはないが。


 うーん…。かまってあげるとは言ったものの何をすればいいのだろうか? そんなことを思っていると葉月の方から言ってくれた。


「…膝枕して」


 そうか…膝枕か。まぁ、減るもんでないし、それに葉月に何でもするって約束したからな仕方ない。仕方ない。べ、別に膝枕がしたいとかそんなんじゃないんだからね。思わず俺のツンデレが出てきてしまった。


 とりあえず、俺と葉月は俺のベッドに向かうことにした。 


 俺がベッドに腰を下ろすと、葉月は「ふへへ…」と可愛い笑みを浮かべ俺の膝の上で横になるのだった。俺は安易に下を向くことができない。なんたって今の葉月の服装はとてもエロい。いわゆる彼シャツスタイルってやつだ。しかも、何故か俺のを着ている。帰ってきてからは気にしないようにしていたのだが、ここまで近づかれると妙に意識してしまう。


 ――もし、葉月が妹じゃなかったらおれはどうなってたんだろうな。


 そんなことを思いつつ、俺は葉月の頭を撫でるのだった。


 しばらくして、夕飯の準備ができたのだろう俺達の姉さん、村雨立香むらさめりつかが俺達を呼びに来る。


「ねぇ…響也。葉月知らない? 」


 そう言って、俺の部屋に入ってくる。俺が葉月に膝枕をしていることに驚いたのか姉さんはとんでもない顔をしている。


「ズルい…」


 少し間はあったものの姉さんはポツリと呟くと、俺に向けて飛びかかってきた。葉月は危ないと察したのだろう。すぐに起き上がって俺を盾にした。俺に避ける時間はなかった。そのまま姉さんに抱きつかれる事になってしまった。


 抱きつかれたとなるとやはり気になるのはその感触だろう。前にも言ったと思うが、俺の姉さんのはそこまで大きくない。葉月との差は歴然だ。それでもないわけではないのでムニッとした感触がある。


 その感触に気を取られ俺は油断していた。今俺の後ろには葉月がいる。後はもうどうなるかわかるだろう。そう、葉月に背後から抱きつかれたのだ。うん…やはり素晴らしい感触だ。姉さんと違いとても柔らかい。さっき、賢者にジョブチェンジしたばかりなのに――これはやばい。


 落ち着け。落ち着くんだ俺。わかってるのか相手は姉と妹だ。俺たちは家族なんだ。家族であるからには一線を越えるなんてことはあってはならんのだ。理性の神様助けてくれぇ! 


 俺のを助けを呼ぶ声が聞こえたのだろうか理性の神様は俺に助け舟を出してくれた。母さんという名の助け舟を。


 母さんは抱きつかれている俺を見て驚いたものの呆れたような声で言った。


「あんたたち! もう夕飯の準備はできているんだから早くおりてきなさい! 」


 俺はホッと胸をなでおろす。夕飯という離れる口実ができたのだ。これはもう理性の神様に感謝するしかない。


 そうして俺達は夕飯を食べるために一階へと向かうのだった。


 ――そしてまだ俺は気づいていなかった。妹絶対時間シスター・エンペラータイムはこれからが本番だということに。






 ―――あとがき―――

 どうもにんじんさんです。

 なんか物語では大変なことになってますね。姉と妹との禁断の関係これはいいですねぇ。

 まぁ、それはさておきラブコメ週間ランキングで607位とったらしいですね。見てくださった皆さんのおかげですね。本当にありがとうございます。

 皆様のために今後も頑張りますのでもし面白いと感じたらフォローや☆、感想を書いてくれるとモチベに繋がります。

 至らぬ点などがありましたら、その報告もしてくれるとありがたいです。


















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る