第6話 宮野火憐について
今、俺こと
宮野火憐やはりどこかで聞いたことがある気がするのだか思い出せない。こんなに可愛い子を俺が忘れるはずないと思うのだがな。うーん…。
自己紹介をしてからというものお互いに会話することはなかった。黙々と昼食の弁当を食べる彼女はとても可愛い。俺に見られていることに気づいているのか彼女の顔は赤くなっている。
※宮野火憐視点
今日、私は運命の出会いをした。私の隣で昼食の弁当を食べている彼――村雨響也
私は彼を知っている。
私と彼は、同じ幼稚園に通っていた。いわゆる幼馴染というやつ。
その当時の私たちはとても仲が良かった。それも将来の約束をするほどまでに。
けれど、そんな幸せな日々は長くは続かない。小学生に上がる前に私は家族の事情により、引っ越すことになってしまった。
引越しによる彼との別れは私にとって苦しいものとなった。愛していた彼との別れ幼いながらに私はとてもショックを受けた。
それからというもの彼以外の全てがどうでも良くなった。私はこの見た目も相まって多くの男たちから告白されてきた。けれど、私が首を縦に振ることは無い。私は彼以外に私の全てを差し出す気は毛頭ない。
それほどまでに彼を愛してしまったのだ。
そしてわたしは戻ってきた。彼に会うために。彼と結ばれるために。彼との子を孕むために。
しかし、わたしは失敗に気づく。戻ってきたとはいえ彼が私のことを覚えているとも限らないし、そもそもどうやって彼に会えばいいのか分らないのだ。私としたことが彼と会うのを楽しみにし過ぎて、大事なことを忘れていた。恋は盲目と言うけれど本当にそうなのだなと私は思った。
それから私は名門と呼ばれる霧宮学園に入学した。薄い希望だったけれど、そこで彼を探すことにした。
探すことにしたのはいいものの私は元より人付き合いが苦手なのもあり、友達と呼べる存在は1人もいなかった。友達に手伝ってもらおうにもその友達が居ないのだからどうにもならない。それに彼以外の男子とは話そうとも思わない。
彼を探すのは困難を極めた。友達がいないのもそうだし、なにより彼と私はあの時と比べ成長している。ひと目見ただけでは彼だと気づけないかもしれない。自分の勘を頼りに私は彼を探し続けた。
彼を探し始めてから1ヶ月が過ぎようとしていた。私はもう諦めかけていた。彼に会うことはもう二度とないのかとしれないそう考えていた時だった。
昼休みになると多くの人が私を昼食に誘ってくる。特に男子。私とお近付きになりたいという願望がダダ漏れ。やっぱり私は彼以外と男子とは生理的に無理みたい。
私は1人になりたかった。そしてつい最近知ったことなのだけれど、この霧宮学園では昼休みの間だけ屋上が開放されるのだという。それに、このことを知っている人は学園の中でも極わずか。1人になるにはうってつけの場所。私はその場所へ向かった。
やはり、誰もいない。噂は本当だった。そして私は1人で昼食をとり始める。
1人で食べ始めてから少し経ったころ1人の男子が話しかけてきた。私と同じように彼もここに食べに来たみたい。彼は私に隣に座ってもいいか?と尋ねてきた。本当は嫌だけどここは私だけの場所じゃない。仕方がないので彼と一緒に昼食を食べることにした。
私と彼との間に沈黙の時間が流れる。そんな沈黙の時間を壊したのは彼だった。
いきなり自己紹介を始めたのだ。しかも彼は村雨響也だとそう言ったのだ。彼の自己紹介を聞いて少し驚いてしまった。それもそのはず彼は私が探していた村雨響也本人だったのだから。
少し遅れて私も彼に自己紹介をする。彼からはなんの反応もない。その時私は気づいてしまった彼は私のことを覚えていないことに。
ショックだった。私はこんなにもあなたのことを求めて頑張ってきたというのに当の本人は忘れているのだ。でも、その程度で冷めるほど私の愛は安くない。忘れているのなら思い出してもらえばいいだけのこと。そして、私以外のことを考えられないようにするだけ。
そして、私は気づく彼からの熱い視線。もうそれだけで感じてしまう。今までおあずけされてた分が一気にこみ上げてくる。私はいけない子。彼を前にして自分の欲望を隠しきれていない。体はどんどん火照っていく。我慢の限界が近づいて来ていたその時。
昼休みの終わり5分前を告げるチャイムがなった。
―――あとがき―――
どうもにんじんさんです。
もう6話らしいですね。いやー早いね。今回で2人目のヒロインについてのことを書いてみたのですが、少しエロくなった気がします。私的にはもう少しエロくてもいい気がするんですけどね。まぁ、そこら辺はいずれね。前回も伝えた通り、公開してる話の修正は常に行っているので、読み返してみてね。
今後も頑張りますのでもし面白いと感じたらフォローや☆、感想を書いてくれるとモチベに繋がります。
至らぬ点がありましたら、その報告もしてくれるとありがたいです。
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