第5話 屋上の君は?
俺の家から霧宮学園までは徒歩で行けば20分で着くぐらいの距離だ。現在の時刻は8時10分。急げば8時30分からのHRには間に合うだろう。そう思い、俺は少しスピードを上げる。
結果はギリギリだった。チャイムがなったと同時くらいに教室に入ることができた。危うく遅刻するところだったがそれは阻止できて俺はホッと胸をなでおろす。
今日は今までと違う高校生活を送れる気がした。
それから授業の間の休み時間はあったものの
俺は少し思い上がっていたのかもしれない。彼女から王子様や好きだなんて言われて。
―――俺はバカだ。
自分が一番わかっていたはずなのに彼女と俺とでは住む世界が違う。そんなのとっくの昔からわかっていたはずなのに。
――恥ずかしい。
そんなふうに思っていた。
◇
四限目の授業が終わり昼休みに入る。昼休みになれば、昼食を食べるために学食へ向かう人や教室で友達と仲良く駄弁りながら食べる人などたくさんいる。
俺にも友達がやっと出来たとはいえ、彼女と一緒に食べることは叶わないだろう。
彼女の周りにはいつも人がたくさんいる。彼女自身もそれを楽しんでいる。俺が行けば邪険の目で見られるかもしれない。
そう思い、いつもの場所で食べることにした。ここ一ヶ月あそこで食べているが自分以外に人がいるのを見たことがない。今日も大丈夫だろうと思いその場所へ向かう。その場所とは本来であれば立入禁止なのだが、昼休みの間だけ開放される。
――そう、屋上だ。
昼休みだけという限定的な開放からなのかはわからないが、このことを知っている人はほとんどいない。
人に見られるのも嫌なので急いで屋上へと向かう。いつも先客はいないので今日もいないと思っていた。
――しかし、そんな俺の思いは簡単に覆されてしまう。
いつも誰もいないはずの屋上に一つしかないベンチの上に人がいたのだ。赤い髪の可愛らしい女の子が。
彼女の上履きを見るに俺と同じ1年生だということがわかる。ここ霧宮学園では学年ごとに上履きの色が決められており、1年生は赤、2年生は青、3年生は緑といった風に分けられている。彼女の上履きは俺と一緒で赤い。だから、同じ1年生だとわかった。同じ1年生といえど彼女のことは見たことがない。少なくとも同じクラスではないことがわかる。
ここ以上に人が来ない場所を知らないので、意を決して、彼女と昼食を食べることにする。
遠くから見ていたので気づかなかったが近づいてみると、彼女はとても可愛かった。夕凪碧が美人系の可愛さだとするなら、彼女は少し幼さのあるふんわり系の可愛さだった。しかも、そのふんわり系の可愛さに似合わないほど豊満な胸をしている。夕凪碧でもそれなりの大きさはある。しかし、彼女はそれを凌駕している。
いきなり隣に座るのもあれなので、聞いてみることにした。
「俺もここで昼食を食べたいんだが隣に座ってもいいか…? 」
そう彼女に問いかける。
彼女は嫌そうな顔をしながらもしょうがないかといった顔で頷いてくれた。
許可ももらったことだし俺は彼女の隣に座った。
俺と彼女は初対面なこともあり、特に話すこともなく黙々と昼食を食べ進める。俺達の間に気まずい雰囲気が流れる。このままではまずいと思い、彼女に話かけてみる。
「俺は3組の村雨響也っていうんだけど、君は? 」
「わ、わたしは1組の
彼女は急に話しかけて来たことにびっくりするも答えてくれた。何故だか分からないが顔も少し赤くなっている。
宮野火憐。どこかで聞いたことがある気もするが気のせいだろ。そもそも、俺に女子の知り合いなんて一人を除いていないのだから。
―――あとがき―――
どうもにんじんさんです。
昨日は更新できずに申し訳ございませんでした。四話までの修正や付け加えなどをしていて書く暇がなかったんです許してください。
前述の通り四話までの修正、付け加えなどをしてみたのでもう一度読んでいただけたらなと思います。今後もちょくちょく変えていくと思うので、読み返してみるのもいいかもしれませんね。
今後も頑張りますのでもし面白いと感じたらフォローや☆、感想を書いてくれるとモチベに繋がります。
至らぬ点がありましたら、その報告もしてくれるとありがたいです。
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