第19話:転生初日終了!おやすみなさい
あれから。
ほぼヤケになったのか、慣れたのか。俺はテレサさんのおにぎりにも[おいしくなーれ]をかけた。そんな感じなのにテレサさんが大喜びだったのが心苦しくもあるし、微妙な気分になる。
まあ、喜んでもらえたならいいか。
とはいえ、こんなキャラだとテレサさんに誤解されたくない俺は、スキルについてはきっちり説明をした。
その説明を聞いたテレサさん曰く、ちゃんと美味しくなってるらしい。かなり分かりにくいらしいけど。まあレベルも低いうえに俺は分からなかったんだからむしろすげぇと思う。ただ見た目の効果は絶大だって力説された。超嬉しくねぇ。
そういえば自分は食べ比べる前にスキル使って行ったからなぁ。違いがわからなかったみたいだ。
ついでに効果が重複しないか自分のにもかけてみた。重複はしなかった。酸っぺぇ……
で、それだけ使えば当然といえば当然だったんだろう。
[おいしくなーれ]のレベルが上がった。
効果が上がったのと、声の条件が緩和された。それでもちゃんとやった方が効果は高いらしい。某狩猟ゲームの肉焼いた時に、上手に焼けるのと、ウルトラ上手に焼けるくらいの違いは出るそうだが。
もう使うつもりはないからどーでもいい。
という事で、あの罰ゲームおにぎり、いや、自業自得なんだけども、悪戦苦闘しつつなんとか完食。もう二度とやらねぇ。いい教訓になったと心に刻んだ。
そんなこんなで。
もう色々疲れ切った俺は安らぎを求め、フラフラと人をダメにしそうなクッションへと
「はぁ〜極楽ぅ〜」
そんな俺を優しく受け止めてくれるクッション。お前最高かよ。
「チュン!チュン!」
雀が抗議の鳴き声をあげるけどスルー。もう動きたくないです。このまま寝てもいいですか?ダメ?
「あー、まだ色々話したかったがそろそろマイが限界っぽいのう」
俺もテレサさんや天王寺さんとまだ話したかったけど、疲れと摩耗した精神がめちゃくちゃ睡魔に引っ張られてます。
やめてテレサさん、ほっぺをツンツンしないで。
「うーん、改めて見ると可愛いわねこの子」
女神様あんたもか。と思いつつも今は好きにさせる。ていうか今は突っ込むのも億劫なんです。
そして目の前の雀。ちゃっかり俺の横にスペースを確保して満足げな顔してます。
俺より絶対こっちの方がかわいいだろ?
で、雀よ、お前このクッション相当気に入っただろ?分かる、俺もだ。
「まあ、今日は色々大変だっただろうからな。もう寝かせてやろうぜ」
天王寺さん優しいな。この人何気に包容力あるよなぁ。俺もこんなかっこいい男になりたかったよ。
で、なんで近づいてくるんですか?
「よいしょっと」
「ギャァァァァァァァ!!」
「うわっ!?急に暴れんなよ」
そりゃ暴れるわ!お姫様抱っことか何晒してくれるんじゃこの野郎!
そしてこんだけ暴れてもバランス崩すどころかむしろがっちり掴まれて逃げられなくなりましたが!?無駄に勇者スペック発揮しやがって!
「起きました!超目ぇ覚めました!だから降ろしてください!」
「遠慮すんな。このまま客室のベッドへ連れてってやるよ」
「ベッド!?ベッドに連れ込んで何する気ですか!?」
「何もしないが!?なんかめちゃくちゃ俺誤解されてねぇ!?」
「さっきお風呂でお、私の身体ガッツリ見たじゃないですか!このラッキースケベ勇者!」
「あれはごちそうさまでした。じゃなくて事故だっての!」
「ちょっと天王寺!?なにそれ聞いてないわよ!?」
「こやつ、さっきワシとマイの入浴中に風呂に乱入してきたのじゃ」
「あっ、馬鹿、テレサ!?」
「てーんーのーうーじー?」
「だから事故だっての!」
「あんた仮にも勇者でしょ!なんてハレンチ極まりないことを!」
「そうじゃそうじゃ、もっと言ってやれ!」
「だから事故だっての!!俺そんなに信用ねぇ!?」
「「ない!!」」
「なんでだよ!?」
「だってあんたどれだけの女誑し込んだと思ってんの!」
「ワシが知る限りでもワシとこやつに、結構な国の王女様や貴族の淑女様、ワシを討伐に来た時にパーティを組んでた聖女と大魔法使いにも確か告白されてなかったか?」
「それ俺が悪いの!?」
「ヒィ!異世界転生ハーレム勇者!?」
「言い方ぁ!てかほらみろ、米原さんに盛大に誤解された上に怯えられたじゃねーか!」
「だって全部本当の事じゃない」
「ワシらもその毒牙にかかったわけじゃし」
「催眠術よりタチ悪いですよ」
「お前ら揃いも揃って酷くない!?てか米原さん随分余裕出てきたじゃねーか!」
「乗るしかない!このビッグウェーブに」
「波に飲まれてしまえ!」
いや、最初は混乱も混乱、大混乱だったんだけど、なんか最後の方急に冷静になりまして。そんな時あるよね?諦めたともいう。だってガチで全く身動き取れないんだもん。
「本気で襲ってやろうかこいつ」
「あ、ごめんなさい、やりすぎました」
「すまんな、ちょっとからかいすぎた。まあマイもわかっておろうが、ユーキはその辺ちゃんとしておるから安心せい」
「ごめん、さっきのお返しとばかりに調子に乗っちゃったわ。米原、ゆっくり休みなさい」
「んじゃ、客室に案内するわ」
「二人ともおやすみなさい」
挨拶もそこそこにそのままドナドナされる俺。いやこのまま運ばれるんかい。
なんて抵抗感あったのは最初だけ。運ばれる揺れで再び強烈な睡魔に襲われた俺はどーでもよくなった。
で、朦朧とする意識の中、寝かされた布団が……やばかった。布団に身体も心も、意識さえもあっという間に沈んだ。
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