第14話:異世界に来たからって名前を変える必要はないって話
「お、私の名前は米原 真。今日転生してきたばかりの異世界初心者です。呼び方はまあ、お好きにどうぞ」
ふう。やっと自己紹介できた。
転生か転移かは一瞬迷ったけど、まあここは正直に転生の事は喋っておく。
この二人、なんとなーくだけど、なんか人のステータスとか看破しそうな雰囲気ある。だから下手に誤魔化さない方がいいって判断だ。
……他にもっと隠さないといけない事あるしな、隠し事するときは真実を織り交ぜることが有効なのだ。あれ、嘘をつく時だっけ?とにかく。
どうか、どーかTSしたことはバレませんよーに!バレませんよーに!!
くそ、あのお風呂事情さえなければこんなに必死に隠す必要もなかったろうに!対価に見合うだけの価値はあったけども!
「んじゃあ」
「マイじゃな」
「判断が早い!」
「おぬしが遅いんじゃよ」
「……新鮮な呼ばれ方です」
っと、妙な事考えて顔に出てたらアホだ、今は会話に意識を持っていこう。
しっかし、今までマイなんて呼ばれたことないからちょい戸惑う。そりゃあ元男がそんな呼ばれ方してたらそっちの方が驚くけども。
「ぇーせっかく異世界に来たんだしそこは
なんかすっごい厨二病っぽいセンス。口には出さないけど。
「ぉぉ、カッコ良いではないか」
アカン、テレサさんの目がキラッキラしてる。こういうの好きっぽいもんな。とはいえ。
「捻りすぎて自分じゃない感がすげぇ」
絶対忘れて反応しないパターンだなこれ。
「んじゃ米原だからマイキ」
「それはダメです」
「そか?」
やめて。そんな最強ヤンキー感漂うあだ名は名前負け感半端ない。
「じゃあまいっちんぐ」
「呼びにくくないか?」
「私、パンチラサービスなんてしませんよ?」
まー次から次へとよく浮かぶな。
「ぱんちら?なんじゃそれは?」
「えーとですね」
「悪かった。謝るからこれ以上は掘り下げないでくれ」
天王寺さんが流れるように土下座した。まあ中身喋ったらお仕置き確定だろうしね。
ていうかテレサさんの日本かぶれはこの人が原因か。
・
・
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「で、まじめな話、米原さんはこれからどうするの?」
「そうですね」
呼び方は米原さんに落ち着いたらしい。ただからかわれただけかもしれないけど。からかい上手の勇者さんか。
とりあえずこれで名前ネタは終了だな。切り替えていこう。
これからか。これからねぇ。
「実はまだ何も考えてないんですよね」
いや、スローライフでも目指すかなぁとかチラッとは考えたけど、本格的に「こうしよう」って指標はまだぜんぜん。
だって怒涛のイベント責めでゆっくり考える暇なかったじゃん。
「まあ転生したてなんじゃし、慌てて考える必要もなかろ。なんならここにしばらく滞在してゆっくり答えをだしてもいいしの」
「だな」
「いいんですか?」
それは願ってもない話だ。まだこの世界の事は全然わからないし、そもそもどう生きていけばいいのかも見当つかない。ゆっくり考える時間は喉から手が出るほど欲しい。
「俺は問題なし。同郷のよしみってのもあるが、やっぱ同郷だからできる話題ってのもあるからな。めちゃくちゃトークしたい」
「ワシも助けられたのもあるし、こやつ以外からのおぬしらの国の話も聞いてみたいの。じゃがなにより」
「のぁぁぁ!?」
なんか急に抱き着かれたんですが!?
「ワシがマイを気に入ったのじゃ!」
「ひやぁぁぁ」
やめて、ぎゅってしないで!抱き着かれるなんて慣れてないうえにこんな美人さんに抱き着かれたら緊張と罪悪感で何も考えられなくなる!あっ、いい匂いがしゅるぅ。
「何日居っても構わんからゆっくりしていけ!いっそここに一緒に住むか?」
「テレサ、そろそろ開放してやれ。米原さんゆでだこになってんぞ」
「ぷしゅう~」
これからのこと考えなきゃいけないのに、今俺の頭を埋めるのはテレサさん柔らかいとテレサさんいい匂いしゅるぅだった。
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