第4話:異世界で定番の能力は大概チート
神様のメモを読んでいたらとんでもない爆弾情報が出てきた。
異世界?ここ異世界なの?
俺、死んで天国に来たと思ってたら、実は転移、いや、性転換してるから別の身体転生?して異世界にいるってこと?
しかも生活していくうえで、って事は、ほぼ間違いなくこの世界で生きてくことを前提としてるよな?
ワンチャン俺のおにぎり食べたいって願いを叶えるために一時的に宿る肉体を用意しました、では終わらないよなぁこれ。
「……ぇぇ~」
衝撃の新事実に思わず心の声がダダ漏れる。
そりゃあついさっきまで穏やかな心だったのにこんな爆弾情報投げ込まれちゃあねぇ。
しかしそうか、ここは天国じゃなかったのか。まあ、天国にしちゃ何もないところだなと思った辺りから違うかー!とは感じてたけどさ。
で、なんで俺異世界に転生してんのさ?しかも性転換という改造済みとかいうオマケ付き。
ワケが分からないよ(白い獣風味)
そういえば、そもそもなんで女になってるんだって謎のヒントを探してるんだった。
謎が増えたじゃん。
いや、それを言ったら成仏しなくていいの?ってのも気になるけども。
あとチートくれるって言ってもいきなり知らない世界に放り出されるって不安しかないんですが?
ネット小説の主人公たちもこんな気持ちだったんだろうか?
ま、何をするにしても、まずはとりあえずメモを全部読み終わってからか?……追加の爆弾情報がありそうで超怖いんですけど。
まるで地雷原を歩いてる気分だわ、ハハ。
すーはーすーはー。オレンジ色の髪の死神さん、あなたの覚悟、ちょっとだけオラにわけてくれ!いざ。
「クリーン。汚れを落とす魔法なんだな」
あ、やっぱり魔法はあるのね、この世界。
まあ、異世界転生っていえば魔法だよな。こんな不安な状況だけど、どうしようもなくワクワクするね魔法は。スパイ、ミッションにワクワクする幼女がいる昨今、男の子だって異世界、魔法にワクワクする。男の子って歳じゃないし、今は女だけど。
「自分自身の汚れはもちろん、衣服や食べ物にも効果があるんだな。これで身ぎれいなうえに、食の問題も解決なんだな」
なにそれ超便利。大分歳だったとはいえ、現代っ子としては不衛生な状態ってのは結構気になる。なにより食材に使えるというのは有能すぎる。海外で食材や水に当たるなんてよく聞くし、これで食中毒や寄生虫も怖くない。
というわけで早速試してみたい、が。
メモにはまだ続きがあり、今は目の前にドーンと転がってる疑問を少しでも解決できる糸口が欲しい。多分まだ他にも貰える能力がありそうだから、まずそっちを知っておくほうが先決かな。
「空間倉庫。亜空間を作り出して物を保存しておける能力なんだな」
出た。異世界転生の定番能力、下手な魔法なんて軽々凌駕する、流通を根本から覆す強チート能力。
こんな異世界生活勝ち組を約束する能力、そうホイホイ付与していいの?って思うんだよなぁ。ものすごくありがたいんだけど。
「もちろん入れたものは劣化したりしないんだな。だから作り置きを入れておいたり、現地の食材や調味料を入れておくと便利なんだな」
……この神様、なんか能力の付与がだいぶ食べ物に寄ってない?いや、とても感謝してるけども。
「簡易鑑定。食べられるか否かを判別できる能力なんだな」
きたよ、異世界転生定番能力で強チートその2が。
大分限定されてはいるみたいだけど、食べられるか食べられないかが分かるだけでも異世界生活の難易度がめちゃくちゃ変わる。これでよくわからないものを口に入れるオトコマエ鑑定なんて自殺行為に等しいことはしなくて済む。ありがてぇ。
最初のギフトも含めて、少なくともこれで食べ物に困るようなことはまずない。……ない、と思う。ないよな?(心配性)
「能力は以上なんだな。最後に僕の祝福を授けるんだな。これは、一定の条件を満たすと何かいいものをプレゼントするんだな。色々用意してるので、軽い気持ちでチャレンジしてほしいんだな。それじゃあ、よい異世界生活を。なお、このメモは読み終わると同時に自動的に消滅するんだな」
「うそん!?ちょまっ!?」
ボフン!
読み終わったとたんにメモが爆発した。
顔のすぐ近くで。
「不意打ちにも程があるわ!」
俺は吠えた。
やり場のない怒りが声になってこだまする。
幸い、怪我とかはなくてちゃんと手加減されてたみたいだけど、お茶目が過ぎるぞあの裸の大、もとい、神様!
……とりあえず、貰った能力の把握はできた。で、メモが「よい異世界生活を」という言葉で締めてる辺り、この世界で二度目の人生をエンジョイしていいと予測する。
うん、ここは天国じゃなかったけど、二度目の人生を貰えたのは素直に感謝。
んでも結局の所。
「疑問が解決してねぇ」
転生した理由は不明、女になった理由も不明。それらしいヒントも見つけられなかった。
なんかすっごくモヤっとするぅ。
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