第2話
あの後、僕は、入部届を提出し陸上部に入部した。
「辰巳結局陸上部に入ったんだ。」教室でまだ慣れない算数から数学に変わったノートを僕が閉じていると、後ろから柄本が話しかけてきた。
「そう。なんだか、中学校でもやっていいかなって紹介見てたら思って...柄本も結局野球にしてたね。」と話しながら僕は、やっぱりやったことがあるスポーツは、意味もなく選んじゃうよななど思った。
それから数日が経った。今日は遂に陸上部の全体ミーティングがある日。僕は、少し早く教室についてこれから過ごす新しい環境に心を躍らせながら他にどんな人が入部するのか見渡してみた。すーっと頭を回しながらあたりを見渡しているとまず目に入ったのは、笹田君がいた。笹田君にはあの時奇跡的に一回勝てただけでそれ以外は一回も勝つどころか視界に入ったこともなかったと思う。そんな彼が今チームメイトとして座っている。そんな事実にびっくりしながら僕は再びあたりを見渡した。あとは、同級生は四人いた。眼鏡の子、少し小さいけど筋肉質な子、なんだかずっと歌ってる子、あとは元同じ小学校の奴だった。こいつは、小学校の時は陸上とか習っていたわけではなかったけど、昼休みの鬼ごっこの時には全然捕まらない奴だった。中学校の陸上部は、もともと陸上やっててそのまま陸上部入る人もいるけど、入る部活が決まらなくて小学校の時なんか足が速い子が入ることも多いとよく聞くけど、やっぱりそうなんだと、一旦周りを見渡してもう一度前を見ると、二、三年生も揃ったらしく、部長さんが前のほうに出てきた。
「じゃあ、新入部員はこれくらいかな。」と部長は言った。そして、僕たちのほうを見ながら、
「こんにちわ。今年の陸上部の全体部長をしている、鈴木です。所属は、中長距離です。頼りないかもしれませんが、みんなでいい部活を作り上げていきましょう。」と鈴木先輩は言った。ここで僕は、部活として陸上をするんだなと感じた。
陸上競技のトラック種目は、100m、200m、400mなどのいわゆる短距離と、800m、1500mなどの中距離、3000mなどの長距離種目がある。100mは、陸上の醍醐味というか、花形みたいな種目で多分最も競技人口が多いと思う。でも、僕は、短距離は一瞬で終わってしまって儚いから、戦略性の生まれる長い距離のほうがいい。そんな僕は小学校の時は長い距離を走るほうが好きだった。
「じゃあ、新入部員一人ずつ、自己紹介していきますか。」と部長は言う。「じゃあ、君から行こっか」と言いながら部長が指をさしたのは、六人のうち端っこでもなく、真ん中でもなく何の変哲のない場所に座っていたなんと自分だった。まじかよ、そう思いながら自分は立ち上がった。
「城内小から来ました、辰巳大地です。何となくで小学校で陸上をして、中学校でもなんとなく入部しました。それでも、陸上に魅力を感じたことには間違いはないです。中長距離をしようと思ってます。ぜひ、よろしくお願いします。」と言い切って、礼をして座った。
「こっから、右回りで次々自己紹介していこうか」部長は拍手しながら、次の笹田君に順番を回した。
「こんにちわ、西小から来ました、
あとから、知ったことで、この学校の陸上部は去年地区大会で優勝していて学校史上は初めて県大会に出場した、今ここら辺地区では強くなってきている学校だったらしい。
そしてそのあと眼鏡の子が自己紹介をした。「こんにちわ。第一小学校から来ました。
やっぱり、初心者で中長距離志望するのはさすがに博打過ぎてこないかーなどと思いながら、部長がこれで今日は解散と言ったので僕は同級生たちと話したいと思い振り返りみんなの元へ向かおうとした。短距離の子たちで輪がもうできていたので、僕は、少し緊張しながらも、中長距離のふたりのところへ向かう。
「こんにちは!さっきも言ったけど辰巳大地って言います。自分は笹田君みたいに理由があってきたわけじゃないけど、なんとなくうまくやっていけたらいいかなって思ってる!これから、よろしく!」と自己紹介をした。多分うまくできたと思う。「よろしく、自分も駅伝やりに来たってさっき言ったけど、とりあえずは楽しくやりたいかな。」と笹田君、
「よろしく、俺も何となくで中学校でもやるかーって感じだけど、よろしく!」と本庄君も自己紹介と言うか一言ずつ話してその場はお開きになった。
明日からの部活がんばるぞー。
こうして、正式に入部し、陸上生活が始まる。
僕走る 維野 @Yukino_san
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