僕走る

維野

第1話

――さあ、最初のランナーたちが戻ってきました!!小学生の部はラストスパート勝負になって......○○陸上教室の辰巳君が今一位でゴールしました!!その次に○○ランナーズの笹田君が二位でフィニッシュです!!――


 「はいじゃー笑って笑って―」そう言って母はカメラを僕に向け、僕は入学式と書かれている看板の前に立つ。そうして僕はこれから始まる中学校生活をイメージしながらカメラに向かって表情を作った。「ハイチーズ!」


これは僕が走った記録だ。


まずは僕の自己紹介をしよう。僕は辰巳大地たつみだいち、中学校受験がたまたま受かって地方の中高一貫校の通っている中一。この学校は、ここらの地元じゃOBやOGは割と見かけるような昔からある伝統校だ。そんな学校の陸上部に僕は入部する。


 「さあ、みなさん中学校生活に少しずつ慣れてきたところで、今日は部活動紹介の日です。先輩たちの紹介を見てなにか興味のある部活を見つけれるといいですね。」先生は言って僕たちに言った。正直僕は、何の部活に入ろうかはっきりとは決めていない。「柄本は何の部活にしようとしてる?」と僕は出席番号が近くて仲良くなった柄本つかもとに体育館に移動しながら話しかけた。

「うーん、絶対これにしようってわけじゃないけど、野球かなー。小学校の時クラブチームでやっててそれなりに結果残せてたし。辰巳は?」

「そうなんだ。確かに小学校でやっていたで決めるなら僕も陸上をやってたけど、一回たまたま小さな大会で優勝できたぐらいだし」


 そんなことを話していると、体育館に到着し、前で中学校の生徒会長らしき人が出てきて僕ら新入生のほうを見ながら話始めた。

「みなさん、ご入学おめでとうございます。本校にはたくさんの部活があります。僕たち二、三年生は皆さんにはこれからの貴重な学生期間の青春をこれなら費やしてもいいと思えるような競技に巡り合えることを願っています。」といって次々と部活動紹介が始まった。バレー、ソフトテニス、サッカーと紹介がされ、その時、陸上部の番がやってきた。

 「皆さんこんにちは!私たちは陸上部です。みなんさんは陸上競技に対してどんなイメージを持っていますか?走ってるだけ、そう思う人は多いでしょう。実際そうだからそう思われてもしょうがないです。だけど、陸上はそんなシンプルな競技だからこそ打ち込みやすく、記録や順位を残せたときにはすっごく楽しいのです。そして、個人競技に見えますが実際はみんなで切磋琢磨していく王道のような競技なのです。ぜひ、興味の持った人は入部よろしくお願いします!」そういって紹介は終わった。

この発表を聞いてなんだか自分の奥底のほうを刺激されたようで、小学校で弟がしていた影響で何となくやってたのとは違い、自分からやりたいと思った瞬間だった。

まあ、どっちみち他にすることないし、これでいっか。


そうして、僕は陸上部に入った。

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