第八〇話 酒池肉林


 原作にて、アルヴァートがプレイヤーに見せ付けてきたそれは、実に野方図なものだった。


 相手方をメス豚と呼び、性処理用の肉便器として扱う。

 実際のアルヴァートは、そういう存在であったわけだが……


 俺は俺であって、アルヴァート・ゼスフィリアではない。


 それゆえに。

 彼女達との行為もまた、意味合いが大きく異なってくる。


 自らの欲を一方的にぶつけるといったものではなく。

 互いの想いを確認し合うための、ある意味では神聖な行為。


 だからこそ……

 彼女達とのそれは、口づけを交わすところから、始まった。


「ん、ちゅっ……♥ 兄、様ぁ……♥」


「ちゅむっ……♥ んっ……♥ アルヴァート、様……♥」


 ルミエールとクラリス。

 二人を抱き寄せ、同時に舌を絡ませ合う。

 彼女等とのそれを終えた後、次に俺はエリーゼとエリーを相手にして、


「むちゅっ……♥ んぁっ……♥」


「んぇろっ……♥ んむっ……♥」


 同一人物でも、キスの仕方には少しばかりの違いがあった。

 そんな二人との淫らな一時を楽しんだ後。

 次のペア……セシルとリンスレットとの行為に及ぶ。


「ちゅくっ……♥ ぇろんっ……♥」


「んぁむっ……♥ ちゅっ……♥」


 こちらと激しく舌を絡ませ合う二人。

 そのさまはまるで、競い合っているかのようだった。

 それから……最後のペア、セシリアとエレノアの二人が、近付いてきて。


「ん、ふっ……♥ ぇあっ……♥」


「ん~……♥ むちゅっ……♥」


 口づけを行う最中、二人は頻繁に視線を交わしていた。


 きっとセシリアは、エレノアへ指導を行っていたのだろう。

 どのように舌を絡ませれば、こちらに強い快感を与えられるのか。


 その甲斐あって、エレノアのキスはずいぶんと上手になった。


 ……さて。

 唇を求め合った後は、やはり。


「まずはぁ~……♥」


「わたくし達の強みを、活かして……♥」


 作中でも一、二を争うほどの爆乳を持つ、ルミエールとクラリス。

 彼女等の奉仕を存分に受けた後。


「エリーよ、なんとなくではあるが、お前となら……♥」


「うむ、完璧な連携で以て、旦那様を満足させられるだろう……♥」


 エリーゼとエリー。


 同一人物ではあるが、その美貌の性質は真逆。

 片や、色白の黒髪美少女。片や、褐色肌の白髪美女。


 そんな二人の口技に、強い満足感を覚えた後。


「ボクの強みは、やっぱりコレだと思うんだよね……♥」


 形の良い尻たぶを用いて、セシルが様々な奉仕を行う。

 そうした彼女の得意技に、脱帽してから。


「牛さんの、お乳を絞るみたい、に……♥ ず~り、ず~り……♥」


 豊満な乳房と、長い舌による、あまりにも過激な奉仕。

 ここにおいては、さすがサキュバスといったところか。

 セシリアの技術力は段違いであった。


「ありがたく思いなさいよね……♥ こんなことをするのは、あんただけなんだから……♥」


 どうやら、リンスレットはこういった場面においても、最強だったらしい。

 序盤は拙かったそれが、中盤に至った頃にはセシリアと同レベルとなり……

 最終スコアは、誰よりも高いものとなった。


「セシリアさんが、教えてくれた方法、で……♥」


 エレノアは、他の面々と比較して、肉体的に恵まれているわけではない。

 技術レベルもまた、大きく劣後している。


 だが彼女は……とにもかくにも、天使のように愛らしいのだ。


 そんなエレノアが、拙いながらも、こちらのために努力している様には……

 強く込み上げてくるものがあった。


「ふふ……♥ やっぱり、すごい、ね、アルヴァート……♥」


「まだまだ、体力が有り余ってるみたい、ね……♥」


 精神的な本質は、現代日本から異世界へと転移した男性。

 しかして。

 肉体的な本質は、成人向けノベルゲームの主人公。


 それも、実用性を重視した陵辱系作品の主役である。


 ゆえにこそ。

 装填された弾丸は、まさに無尽蔵であった。


「じゃあ、次はいよいよ……♥」


 と、口にするや否や。

 リンスレットがベッドへと横たわり、


「あたしへの報酬を、支払ってもらおうかしら……♥」


 数十年来の付き合いとなる、我が肩書きの一つ。

 それはこちらからしてみれば、マイナスな要素であるが、しかし。

 彼女等からしてみれば、巨万の富をも超えた、価値ある概念として映っているのだろう。


 だからこそ、少しばかりの紛糾が起きたのだが……

 最終的には。


「ボクがコピーした異能には……分身を創る力が、あるんだよね」


 セシルの力を利用することで、全員同時に、それを実行したなら。

 皆が等しく、欲するものを得たことになるのではないか、と。

 そんな結論に対して、リンスレットは、


「プレミアム感はなくなるけれど……そんなことよりも、今は……♥」


 我慢の限界だと、そう言わんばかりに、誘ってくる。

 そんな彼女へ俺が近付く最中。

 ベッドの上では、七人の妻達が、我が分身を前にして。


「よし、では……♥」


「三、二、一の合図で……♥」


「初めての交換会、ですねぇ~……♥」


 全員の意思を、確認した後。

 妻達が、皆一斉に、カウントダウンを口にする。


「「「「「「「「さぁ~ん……♥」」」」」」」」


「「「「「「「「にぃ~……♥」」」」」」」」


「「「「「「「いぃ~ち……♥」」」」」」」」




「「「「「「「「……ゼロっ♥」」」」」」」」




 その瞬間――


 俺達は、精神的にも、肉体的にも。

 これまで以上の繋がりを、得るのだった。






 ~~~~あとがき~~~~


 ここまでお読みくださり、まことにありがとうございます!


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 今後の執筆・連載の大きな原動力となりますので、是非!

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