第4話提案

「落ち着いた?」


「はい、迷惑かけてごめんなさい」


「いや、ところで君、行く宛てはあるのか?」


「・・・ありません」


「なら、僕の旅についてこないか?」

「着替えも、ご飯も、一定期間住む場所は与えられないが寝床は用意する」

「どうだ?少し考えてみてくれないか?」


「あの、どうして会ったばかりの俺に、そんな事をしようと思ってくれるんですか?」


「ん?まあ僕も家族が居ないようなものだからな、少しだけだが気持ちは分かる」

「・・・はずだ」


 ︎︎実際には本人の気持ちなど本人にしか分からないので断言するのはやめておこう

僕もそれをされたらイラッとくるからな


「あの、なんも出来ないですよ?俺」


「これを見てくれ」


 ︎︎そう言って、僕は雨具代わりを装った大きめの上着のフードを取った

なんて言われるかなと、僅かに恐怖を持ちながら


「・・・・綺麗」


「・・・は?」


 ︎︎予想外すぎる言葉が出てきて一瞬理解が遅れた


「君!本気で言っているのかい?正気じゃない」


 ︎︎呪われた子というのは髪色が変化この不気味な白髪だけでは無い

 ︎︎オッドアイ、、母親譲りのサファイアのような水色の両目は、左目はまるで光を失ったような灰色になり、右目は逆に元の色に青を付け足したような濃い水色や薄い青と言われる色になった


「え!?あの、とても綺麗、だと、思います、けど?」


「老人みたいな髪と光を失ったようなこの左目を見てもか?」


「老人!?いえ、まるで天使のような白髪ではありませんか!それにオッドアイ、かっこいいです、よ?」


 ︎︎互いに勢いに任せた変な会話だった


「・・・僕を不気味に思わないってこと?」


「おそらく・・・そういうこと、ですね」


「・・・あっはっはっ」


「え、あの?どうかしました?」


「いや、なんか嬉しくてさ」

「旅、来てくれる?」


「俺でよければ!ぜひ!」




「てんちょー」


「どうしたペンぼ――レイ!」


 ︎︎街を守ってきた団長や副団長と一緒に街に出ていた事から、住民は僕を怖がらないから助かる

 ︎︎精神的にも・・・身体的にも、


「あの魔法薬あと何個ありますか?」


 ︎︎魔法薬とは、僕考案の髪の色を変える薬だ

 ︎︎もちろん売る相手が犯罪に使わないかを見極めてから売らせている


「魔法アイはどうする?」


「あ、忘れてた、それもちょうだい」


 ︎︎魔法アイは目の中に入れ、目の色を変える道具で、僕は片目だけか両目とも入れるかで使い分けている


「今後いつ買えるか分からないから沢山ちょうだい、金は貯金があるから大丈夫だ」


「いや、金入らねぇーよ」


「いやいやいや商売だろ何言ってんだ」


「その商売品をくれたお前へのプレゼントだ」


「・・・ありがと」





 ︎︎彼の服を買って僕らはすぐに街をでた


「そーいや名前分からないって言ってたよね」


「あ、はい」


「名前、僕がつけていい?」


「え、いいんですか?」


「君がいいならね」


「お願いします」


 ︎︎真っ直ぐ目を見て答えられた

 ︎︎水色の長めの前髪に隠されているが彼の母親の形見のブローチ、その色にそっくりな目

 ︎︎・・・てか怪我あるし汚れてるけど女々しいが綺麗な顔立ちしてるな


「・・・あの?」


 ︎︎おっといけない思考がズレた


「・・・ソラ、ソラはどうだ?」


「ソ、ラ・・・すごく、いいです!」


「気に入ってくれて嬉しいよ」

「あの、さ・・・君、いや、ソラさえ良ければ僕の家族、兄弟になってくれないかな?」


「え!?」


「やっぱ嫌だよね、ごめん忘れて」


「いえ、とても嬉しいです、もう家族は居ないんだって、思ってたから」


「そうか、じゃあ君は今日からソラ・ローグだ」


「・・・はい!!」


「兄弟になったんだし敬語やめてよ」


「分かりま、分かった」


「あの、なんて呼んだらいい?」


「普段は呼び捨てで、場所によって兄ちゃんや姉ちゃんと変えてくれ、その方が都合がいいこともあるから」


「分かった」


「よし、ソラーベルツ王国いくぞー!」


「なにしに?」


「ベルツ王国にはなーなんと!」


「なんと?」


「王城と湖がすっごく近くてお城が2つ見えるんだってー僕見てみたーい」


「え、それだけ?」


「他にも夕焼けが綺麗に見えるスポットや、大きなお祭りもあるよ」


「・・・レイ、この旅ってどこに向かってるの?」


「ただのんびり旅するんだよ、色んなとこ見ながら」

「けどひとりじゃ寂しかったからソラが来てくれて嬉しい、ありがと」


「いえ、・・・あの」


「なにー?」


「ただ旅をするのになぜ剣が必要なんですか?」


「旅が終わったあとを考えると、剣が使える方がいいぞ?」

「勉強も教えてやるから寝る前の数十分はやるから覚えておけ」


「分かったけど、勉強やったことない、」


 ︎︎そう言って、ソラは不安そうな顔をした


「簡単な計算から始めるから心配しなくていいぞ」


 ︎︎ソラは不安そうな顔から安心した顔に変わった


「剣はかなり強いと自負しているからな!頼っていいぞ!まあその前に体力作りからだな」

「しんどいなら背負ってやるから早めに言えよ?倒れられたら困るし心配する」


「なら、もう、無理、背負っ、てー」


 ︎︎言葉を途切れ途切れにしながらソラは僕に助けを求めた


「ほら、乗りなー」


「あり、がと」


 ︎︎そんなのんびりとした雰囲気をまといながら僕らの旅は始まった



──────────────────────


昨日投稿することが出来ませんでした

今日中にあと1話投稿できるよう頑張ります

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